十二指腸潰瘍の食事はどうする?段階別・症状別の工夫と再発予防
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十二指腸潰瘍に、すべての人が共通して守る特別な治療食があるわけではありません。治療の中心は、胃酸の分泌を抑える薬と、ピロリ菌やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)など原因への対応です。
ただし、痛みや吐き気があるときは、一度に多く食べたり、本人が不快感を覚える食品をとったりすると、食事を続けにくくなることがあります。症状が強い間は、食べられる量や内容に調整し、落ち着いてきたら栄養の偏りに注意しながら普段の食事へ戻します。
吐血、黒いタール状の便(黒色便)、突然の激しい腹痛、意識が遠のくようなめまいがある場合は、食事で様子を見ず、夜間や休日でも速やかに医療機関へ相談してください。
本記事では、公的機関や関連学会の情報をもとに、症状がある時期の食事の工夫、外食・コンビニでの選び方、原因に応じた治療、再発予防、受診の目安を整理します。症状の出方や食べやすい食品には個人差があるため、治療中は主治医や管理栄養士の指示を優先してください。
- この記事でわかること
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- 十二指腸潰瘍に特別な食事療法が必要か
- 痛みや吐き気があるときの量・回数・食品の考え方
- 外食やコンビニで無理なく食事を選ぶポイント
- 薬・ピロリ菌・NSAIDsと再発予防の関係
- 救急受診や早めの受診が必要な症状
十二指腸潰瘍に特別な食事療法は必要?
十二指腸潰瘍は、胃酸や消化酵素などによって十二指腸の壁が深く傷ついた状態です。みぞおちの痛み、吐き気、嘔吐などが現れることがあり、夜間に痛みを感じる場合もあります。
主な原因として、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染と、NSAIDsの使用が挙げられます。NSAIDsには、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの一部の解熱鎮痛薬、低用量アスピリンなどが含まれます。使用中の薬がある場合は、自己判断で中止せず、医師へ薬の名称と使用状況を伝えてください。
十二指腸潰瘍を食事だけで治すことはできません。胃酸の分泌を抑える薬などを処方どおりに服用し、ピロリ菌が確認された場合は除菌治療と除菌成否の確認を受けます。NSAIDsが関係している場合は、その薬を続ける必要があるか、胃を保護する治療が必要かを医師が判断します。
また、消化性潰瘍の予防や治療を目的として、すべての患者が特定の食品を避ける必要があるとはされていません。香辛料、酸味、カフェイン、脂肪の多い食品などで痛みや不快感が出る場合は、その食品や量を個別に調整します。
食事内容を必要以上に制限すると、エネルギーやたんぱく質などが不足する可能性があります。何を食べても痛む、吐き気で食事をとれない、体重が減っている場合は、自己判断で制限を続けず、主治医や管理栄養士へ相談してください。
痛みや吐き気があるときの食事の工夫
症状が強いときに、全員が同じ献立や食事回数にする必要はありません。食べられる範囲で1回量を調整し、食後の痛みや吐き気が強くならないかを確認します。
一度に通常量を食べるのが難しい場合は、1回量を減らし、必要に応じて食事回数を増やす方法があります。反対に、食事のたびに痛みが強くなる場合や、食べ物・飲み物を受け付けない場合は、食事方法だけで対処せず受診してください。
症状があるときに量を調整しやすい食品の例としては、おかゆ、やわらかいごはん、うどん、スープ、豆腐、卵、白身魚、脂身の少ない肉などがあります。これらは十二指腸潰瘍を治す食品ではなく、食べやすさにも個人差があります。
| 困っていること | 調整の考え方 | 食品・食べ方の例 |
|---|---|---|
| 一度に多く食べられない | 1回量を減らし、無理のない回数に分ける | 小盛りの主食に、豆腐や卵などを組み合わせる |
| 硬い食品を食べにくい | 加熱時間や切り方を調整する | 煮る、蒸す、細かく切る |
| 特定の食品で痛みが出る | 食品名・量・症状を記録して個別に調整する | 症状が出た食品を無理にとらず、受診時に記録を伝える |
| 食欲がない | 食べられる量を優先し、水分も確保する | スープや少量の主食など、受け付けるものから試す |
香辛料の多い料理、脂肪の多い食事、酸味の強い食品、濃いコーヒーなどは、すべての患者が禁止されるものではありません。ただし、摂取後に痛みや胸やけなどが出る場合は、症状が落ち着くまで量を減らすか控えます。
アルコールは潰瘍の悪化に関係する可能性があるため、治療中は主治医の指示に従ってください。特にピロリ菌の除菌薬には飲酒を避ける必要があるものがあるため、薬剤師から受けた説明も確認します。
症状が落ち着いた後の食事の戻し方

痛みや吐き気が軽くなってきたら、食べられる食品の種類と量を少しずつ戻します。通常の食事へ戻すまでの期間に一律の基準はありません。症状の程度、潰瘍の状態、治療内容に応じて調整してください。
おかゆやうどんなどに食事が偏っていた場合は、主食だけでなく、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく源や、野菜、果物も体調を確認しながら加えます。特定の食品を長期間避け続けると、栄養が偏ることがあります。
食事の幅を広げた後にみぞおちの痛み、吐き気、胸やけなどが現れた場合は、食べたものと量、症状が出た時間を記録します。同じ食品で症状を繰り返すときは無理に摂取せず、主治医や管理栄養士へ相談してください。
症状がなくなっても、潰瘍が治癒したとは限りません。食事を元に戻せたことを理由に処方薬を中止せず、医師から指示された期間は服用を続けます。
外食・コンビニでの選び方
外食や市販食品を利用するときも、特定のメニューを一律に禁止する必要はありません。食事量、脂質、味付け、飲酒の有無を確認し、自分の症状が出にくい組み合わせを選びます。
| 場面 | 選び方のポイント | 調整例 |
|---|---|---|
| 外食 | 一度に食べすぎず、量や味付けを調整できる料理を選ぶ | ごはんを小盛りにする、ソースや香辛料を別添えにする |
| コンビニ | 主食だけに偏らず、たんぱく源を組み合わせる | おにぎりやおかゆに、卵、豆腐、魚や鶏肉の食品を加える |
| 弁当・総菜 | 脂質や味付けが強いと感じる場合は量を減らす | 揚げ物を一部残し、煮物や汁物を組み合わせる |
| 会食 | 飲酒と食べすぎを避け、薬の服用方法を守る | 水やノンアルコール飲料を選び、無理に完食しない |
症状があるときに選びやすい食品の例として、おかゆ、うどん、スープ、茶碗蒸し、豆腐、ゆで卵などがあります。ただし、これらが潰瘍の治療に有効という意味ではありません。栄養成分表示や量を確認し、食べられるものを組み合わせます。
カレー、ラーメン、揚げ物、柑橘類、炭酸飲料なども、すべての人に症状を起こすわけではありません。摂取後に痛みや不快感が現れる場合は、量を減らす、味付けを調整する、症状が落ち着くまで控えるといった対応を検討します。
薬・ピロリ菌・NSAIDsと再発予防
十二指腸潰瘍の再発を防ぐには、食事内容だけでなく、原因に応じた治療を完了することが重要です。主な確認事項は、ピロリ菌、NSAIDs、処方薬の3点です。
ピロリ菌が確認された場合
ピロリ菌が原因と考えられる場合は、複数の薬を組み合わせた除菌治療が行われます。薬を飲み終えただけでは除菌に成功したか分からないため、医師が指定した時期に判定検査を受けてください。
除菌治療中は、薬によって下痢、味覚の変化、吐き気などが現れる場合があります。症状があっても自己判断で中止せず、処方した医療機関や薬剤師へ相談します。
NSAIDsを使用している場合
NSAIDsは、十二指腸潰瘍の発症や再発に関係することがあります。市販薬を含め、解熱鎮痛薬や低用量アスピリンを使用している場合は、薬の名称、使用量、使用期間を医師へ伝えてください。
一方で、心臓や血管の病気などを理由に低用量アスピリンを服用している人もいます。突然中止すると別の健康上の問題につながる可能性があるため、自己判断で服用をやめないでください。
処方薬を自己判断で中止しない
痛みが軽くなっても、粘膜の傷が十分に治癒していないことがあります。胃酸の分泌を抑える薬などは、医師が定めた期間、用法・用量を守って服用します。
薬を飲み忘れた場合の対応や、食前・食後などの服用時期は薬によって異なります。分からない場合は、自己流で調整せず医師または薬剤師へ確認してください。
生活習慣で見直したいこと
| 項目 | 意識したいこと | 避けたい対応 |
|---|---|---|
| 食事量 | 食後の状態を確認し、無理のない量に調整する | 長時間食べなかった後に、一度に大量に食べる |
| 飲酒 | 治療中は主治医や薬剤師の指示を確認する | 症状がある状態で飲酒を続ける |
| 喫煙 | 禁煙について医療機関へ相談する | 症状が落ち着いた後も喫煙を継続する |
| 服薬 | 処方どおりに服用し、使用中の市販薬も伝える | 症状が軽くなったため自己判断で中止する |
睡眠不足や精神的な負担だけを十二指腸潰瘍の原因と決めつけることはできませんが、生活リズムの乱れによって食事や服薬が不規則になる場合があります。無理のない範囲で休養を確保し、治療を継続しやすい生活環境を整えます。
参考:National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases「Treatment for Peptic Ulcers」
救急受診・早めの受診が必要な症状
十二指腸潰瘍では、潰瘍からの出血や十二指腸の壁に穴が開く穿孔など、緊急の処置が必要な合併症が起こることがあります。次の症状がある場合は、食事を工夫しながら様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。
救急相談・救急受診を検討する症状
- 血を吐いた、またはコーヒーかすのようなものを吐いた
- 黒く、タール状の便が出た
- 突然、強い腹痛が起こり、痛みが続いている
- 腹部が硬くなり、動くと痛みが強くなる
- 冷や汗、強いめまい、動悸、息苦しさがある
- 意識が遠のく、立っていられないほどふらつく
吐血や黒色便は、消化管から出血している可能性を示します。突然の激しい腹痛や腹部の硬さは、穿孔などの可能性があります。自力での移動が難しい、意識がもうろうとしている、症状が急速に悪化している場合は、119番への連絡を検討してください。
診療時間内に早めに相談したい症状
- みぞおちの痛みが続く、または次第に強くなっている
- 吐き気や嘔吐を繰り返している
- 食事が十分にとれず、体重が減っている
- 疲れやすさ、息切れ、顔色の悪さなどがある
- 処方薬を服用しても症状が改善しない
- 解熱鎮痛薬や低用量アスピリンを継続して使用している
- 治療後に同じような症状が再び現れた
受診時には、痛みが始まった時期、空腹時や食後など症状が出やすい時間、便や吐いたものの状態、服用中の薬を伝えます。市販薬を含む薬の名称が分かるよう、お薬手帳や薬のパッケージを持参すると状況を伝えやすくなります。
よくある質問
Q. 症状が落ち着くまで、どのくらいかかりますか?
症状が軽くなるまでの期間は、潰瘍の深さ、原因、治療内容などによって異なります。また、痛みがなくなっても、潰瘍が十分に治癒したとは限りません。症状だけで薬の中止や食事制限の解除を判断せず、主治医の指示に従ってください。
Q. 牛乳を飲むと十二指腸潰瘍は治りますか?
牛乳を飲んでも、十二指腸潰瘍の治療にはなりません。牛乳で症状が悪化せず、医師から制限されていなければ、食事の一部として摂取できます。ただし、牛乳を処方薬やピロリ菌の除菌治療の代わりにすることはできません。
Q. 食事に気をつければ薬をやめられますか?
食事は症状がある時期の栄養摂取を支えるものですが、潰瘍を治す治療の代わりにはなりません。処方薬を自己判断で中止すると、治癒が遅れたり、症状が再発したりする可能性があります。薬の変更や中止は、主治医へ相談してください。
まとめ
十二指腸潰瘍に、すべての人が共通して守る特別な食事療法があるわけではありません。治療の中心は、胃酸の分泌を抑える薬と、ピロリ菌やNSAIDsなど原因への対応です。
痛みや吐き気があるときは、一度に食べる量を調整し、本人が食べやすい食品を選びます。症状が落ち着いてきたら、特定の食品だけに偏らないよう、たんぱく源や野菜なども取り入れながら普段の食事へ戻します。
外食やコンビニを利用するときは、食品名だけで判断せず、食事量、味付け、脂質、飲酒の有無を確認します。特定の食品を食べた後に痛みや不快感が出る場合は、食品名と量、症状を記録して主治医や管理栄養士へ相談してください。
食事を調整しても、処方薬の服用、ピロリ菌の除菌判定、NSAIDsの見直しは必要です。症状が軽くなっても、自己判断で治療を中止しないでください。
吐血、黒いタール状の便、突然の激しい腹痛、意識が遠のくようなめまいがある場合は、夜間や休日でも速やかに医療機関へ相談してください。
本記事は一般的な医療情報を整理したものであり、個別の診断や治療を代替するものではありません。
参考資料
- 日本消化器病学会「患者さんとご家族のための消化性潰瘍ガイド2023」
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases「Eating, Diet, & Nutrition for Peptic Ulcers」
- National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases「Treatment for Peptic Ulcers」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」






