物忘れは薬の副作用?認知症治療薬の種類や注意点も解説
- 更新日
- 投稿日
使用している薬の副作用によっては、物忘れの症状が生じる可能性があります。「使用している薬の影響による物忘れなのかわからない」という方や、「認知症(物忘れ)の治療薬による副作用そのものが気になる」という方もいるのではないでしょうか。
本記事では、物忘れの症状がみられる可能性のある薬の種類や症状の特徴をはじめ、主な認知症治療薬の副作用や注意点についても解説します。
薬の副作用で物忘れの症状が現れることがある
使用している薬の副作用によっては、物忘れの症状がみられることがあります。また、多くの種類の薬を併用している場合、副作用が現れやすいという指摘もあるため、状況に応じた適切な管理・対応が求められるでしょう。
ここでは、薬の副作用による物忘れについて、以下を解説します。
- 認知機能に影響を及ぼす可能性のある薬の種類
- 薬の副作用による物忘れの特徴
- 薬の副作用による物忘れの対処法
それぞれ詳しくみていきましょう。
認知機能に影響を及ぼす可能性のある薬の種類
認知機能に影響を及ぼす可能性のある主な市販薬・処方薬は、以下のとおりです。参考のひとつにしてください。
| 市販薬 | 処方薬 |
|---|---|
|
|
これらの薬の副作用としての物忘れが、認知症や加齢の影響とみなされるケースもあります。ただし、副作用の現れ方には個人差があり、これらの薬を使用したからといって必ずしも認知機能に影響が生じるわけではありません。
薬の副作用による物忘れの特徴
認知機能障害の原因が薬の副作用によるものである場合、薬の調整によって症状の軽減につながる可能性があります。医師の判断のもと、様子をみながら原因となっている薬を減量・中止することで、症状が抑えられるケースもあるでしょう。
一方、認知症による物忘れは、薬の影響による一時的な症状とは異なり、経過とともに症状が進行することがあるとされています。
薬の副作用による物忘れの対処法
薬の副作用が疑われる物忘れの症状がみられる場合、薬を処方した医療機関に相談してみるとよいでしょう。必要に応じて、薬の中止や減量が検討されることがあります。なかには急な減量や中止を避けたほうがよい薬もあるため、自己判断による対応は控えましょう。
複数の医療機関を受診している場合などは特に、「気がつかないうちに薬が重複している」「それぞれの薬の相互作用に配慮が必要な状態になっている」といったケースもあります。処方薬の情報を一冊にまとめた「お薬手帳」や「マイナ保険証」を活用するなど、対策を検討するとよいでしょう。
認知症(物忘れ)治療薬で副作用が生じることがある
認知症の進行抑制・症状緩和に用いられる薬を使用することで、さまざまな副作用が生じる可能性があります。副作用の現れ方や強さには個人差があり、薬の種類、患者さんの体質や年齢、併用している他の薬などの影響を受ける場合もあるでしょう。
認知症治療薬に限らず、医薬品は一般的に副作用が生じる可能性があります。気になる症状が現れた場合や、薬の影響が疑われる場合、自己判断で服用を中止せず、必要に応じて医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
認知症(物忘れ)の主な治療薬における副作用
ここでは、認知症の治療に用いられる主な治療薬の副作用について解説します。
- アリセプト®(ドネペジル塩酸塩)
- レミニール®(ガランタミン臭化水素酸塩)
- イクセロン®/リバスタッチ®(リバスチグミン)
- メマリー®(メマンチン塩酸塩)
それぞれ詳しくみていきましょう。
アリセプト®(ドネペジル塩酸塩)
アリセプト®(ドネペジル塩酸塩)は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制に用いられる経口薬です。主な副作用として、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 食欲不振
- 嘔気
- 嘔吐
- 下痢
成人がアルツハイマー型認知症の症状を抑制する目的でアリセプト®(ドネペジル塩酸塩)を服用する場合の処方例は、以下のとおりです。
| 錠剤 | 細粒 | |
|---|---|---|
| 処方開始時 | 1日1回3mg | 1日1回0.6g |
| 1〜2週間後 | 5mgに増量 | 1.0gに増量 |
| 高度のアルツハイマー型認知症の場合 | 5mgで4週間以上経過後、10mgに増量 | 1.0gで4週間以上経過後、2.0gに増量 |
一般的に、用量の調整は患者の状態に応じて医師によって判断されます。症状によっては、減量が検討されるケースもあるでしょう。
レミニール®(ガランタミン臭化水素酸塩)
レミニール®(ガランタミン臭化水素酸塩)は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に用いられる経口薬です。主な副作用として、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 悪心、嘔吐、下痢、腹痛、便秘、上腹部痛、胃不快感
- 食欲不振、食欲減退
- 鼻咽頭炎
- 貧血
- 不眠症
- 頭痛、浮動性めまい
- 心室性期外収縮
- 高血圧
- 倦怠感、異常感
- 体重減少、肝機能検査値異常、CK増加、尿中白血球陽性、血圧上昇、血中ブドウ糖増加
- 転倒・転落
成人がレミニール®(ガランタミン臭化水素酸塩)を服用する場合の処方例は、以下のとおりです。
| 処方開始時 | 1日8mg(1回4mgを1日2回) |
|---|---|
| 1〜2週間後 | 1日16mg(1回8mgを1日2回)に増量 |
| 変更前の用量で4週間以上投与した後 | 症状に応じて、1日24mg
(1回12mgを1日2回)まで増量可能 |
イクセロン®/リバスタッチ®(リバスチグミン)
イクセロン®/リバスタッチ®(リバスチグミン)は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に用いられる貼り薬です。主な副作用として、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 食欲減退
- 嘔吐、悪心、下痢、腹痛、胃炎
- 接触性皮膚炎
- 血尿
- 適用部位紅斑、適用部位そう痒感、適用部位浮腫、適用部位皮膚剥脱、適用部位疼痛、適用部位亀裂、適用部位皮膚炎
- 体重減少、血中アミラーゼ増加
イクセロン®/リバスタッチ®(リバスチグミン)は、背部・上腕部・胸部のいずれかの皮膚に貼る治療薬です。24時間毎に貼り替える必要があります。成人がイクセロン®/リバスタッチ®(リバスチグミン)を使用する場合の処方例は、以下のとおりです。
| 処方開始時 | 1日1回4.5mg |
|---|---|
| 4週毎 | 4.5mgずつ増量(維持量として1日1回18mgを貼付) |
| 状態に応じて | 1日1回9mgを開始用量とし、原則として4週後に18mgに増量 |
メマリー®(メマンチン塩酸塩)
メマリー®(メマンチン塩酸塩)は、中等度および高度アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に用いられる経口薬です。主な副作用として、以下のような症状が現れる可能性があります。
- めまい、頭痛
- 肝機能異常
- 便秘、食欲不振
- 血圧上昇
- 血糖値上昇、転倒、浮腫、体重減少、CK上昇
成人がメマリー®(メマンチン塩酸塩)を服用する場合の処方例は、以下のとおりです。
| 処方開始時 | 1日1回5mg |
|---|---|
| 1週間毎 | 5mgずつ増量(維持量として1日1回20mg) |
認知症(物忘れ)治療薬の副作用に関する注意点
認知症(物忘れ)治療薬の副作用に関する主な注意点は、以下のとおりです。
- 用法・用量を守る
- 必要に応じて医師の判断を仰ぐ
それぞれ詳しく解説します。
用法・用量を守る
副作用のリスクを最小限に抑えるためにも、処方された薬の用法・用量は守りましょう。「お薬カレンダーや薬ケースを活用する」といった対策も有効です。
また、認知症治療薬には「医療従事者又は介護者等の管理のもとで投与すること」という注意事項が設けられているケースもあります。必要に応じて、家族のサポートも検討するとよいでしょう。
必要に応じて医師の判断を仰ぐ
必要に応じて医師の判断を仰ぐことも重要です。副作用の現れ方には個人差があるほか、他の治療法や治療薬との併用に配慮が必要なケースもあります。
薬の副作用が気になる場合は、医療機関に相談してみましょう。「不必要な副作用を避けるために、様子をみながら使用量を徐々に増やす」「副作用の状態に応じて減量・中止や他の薬に変更する」といった対応が検討される可能性があります。
認知症(物忘れ)の治療薬に関するよくある質問
ここでは、認知症(物忘れ)の治療薬に関する以下の質問と、その回答を紹介します。
- 認知症の治療薬にはどのような効果がありますか?
- 認知症の治療薬は使用し続けなければなりませんか?
- 健康食品は認知症に対して効果がありますか?
認知症の治療薬にはどのような効果がありますか?
認知症の治療薬に期待される主な効果は、認知症症状の進行の抑制です。現時点において、根本的に認知症の進行を止める(完治させる)働きは期待できないと考えられています。
認知症の治療薬は使用し続けなければなりませんか?
副作用など治療の継続に支障となる状況がみられない場合、薬の使用の継続が検討されることが一般的ではありますが、必ず使用し続けなければならないというわけではありません。治療に関する要望がある場合、医師に相談してみるとよいでしょう。
健康食品は認知症に対して効果がありますか?
現時点において、健康食品が認知症に対して医学的に効果があると証明されているわけではありません。健康への悪影響につながる可能性もあるため、自己判断による過剰摂取などは控えたほうがよいでしょう。
まとめ
使用している薬の影響によっては、物忘れの症状がみられることがあります。また、認知症治療薬を使用している場合、消化器などへの副作用が生じる可能性があるでしょう。
薬の種類に関わらず、医薬品は副作用が生じる可能性があります。副作用の現れ方や強さには個人差があり、医師は状況に応じた対応を検討することが一般的です。薬の副作用が気になる場合、自己判断で使用を中断・減量せず、必要に応じて医療機関に相談するとよいでしょう。
以下のページでは、物忘れに関連する薬の副作用について相談できるクリニックを紹介しています。医療機関の受診を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。






