物忘れは認知症?検査や診断方法について解説

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物忘れがあるからといって、必ずしも認知症とは限りません。加齢による変化としてみられる場合もあれば、認知症の初期症状として現れるケースもあるため、見極めが重要になります。認知症が疑われる場合には、問診や認知機能検査、画像検査などを組み合わせて総合的に判断されるのが一般的です。

本記事では、物忘れと認知症の違いや検査内容、診断の流れについてわかりやすく解説します。

物忘れは認知症なのか

物忘れがあること自体が、即認知症につながるわけではありません。年齢とともに誰にでも起こり得る変化なのか、それとも医療的な評価が必要な状態なのかを見極めることが重要といえるでしょう。

ここでは、以下の視点から物忘れと認知症の関係を解説します。

  • 必ずしも認知症とは限らない
  • 物忘れと認知症の違い

必ずしも認知症とは限らない

年齢を重ねるにつれて、「人の名前がすぐに出てこない」「さっき聞いたことを思い出すのに時間がかかる」といった変化を感じるケースは少なくありません。こうした現象は加齢に伴う自然な変化としてみられることが多く、直ちに認知症を意味するものではないとされています。

加齢による物忘れでは、体験した出来事の一部を忘れてしまうものの、ヒントがあれば思い出せるケースが多いと考えられます。また、自分が忘れていることを自覚できている点も特徴のひとつといえるでしょう。

一方で、物忘れの頻度が急激に増えたり、日常生活に支障が出てきたりする場合には注意が必要とされます。変化の程度や生活への影響を見ながら、必要に応じて医療機関への相談を検討することが望ましいでしょう。

物忘れと認知症の違い

加齢による物忘れと認知症による記憶障害は、忘れ方の質に違いがあるとされています。加齢による場合は「何を食べたか」など出来事の一部を思い出せなくなることが多い一方で、「食事をした」という体験そのものは記憶に残っているケースが一般的です。

これに対して認知症では、「いつ・どこで・何をしたか」といった体験自体を忘れてしまう傾向がみられるとされています。さらに、時間や場所が分からなくなる見当識障害や、判断力・実行機能の低下など、記憶以外の認知機能にも影響が及ぶことがあるでしょう。

こうした違いは日常生活への影響にも表れやすく、金銭管理や家事、外出といった行動に支障が出るかどうかが一つの目安になると考えられます。気になる変化が続く場合には、早めに専門の医療機関へ相談することが大切です。

物忘れ・認知症が疑われる際に実施される検査

物忘れが気になる場合には、医療機関で複数の検査を組み合わせながら総合的に評価が行われるのが一般的です。受診先としては、物忘れ外来や神経内科、精神科などが挙げられます。

以下は、物忘れや認知症に関する検査として一般的なものです。

  • 患者さんや家族からの聞き取り
  • 知能検査
  • 画像検査
  • 血液検査
  • 脳波検査

それぞれについて、見ていきましょう。

患者さんや家族からの聞き取り

医療機関ではまず、患者さん本人や家族からの聞き取りが行われるのが一般的です。症状の経過や生活状況、既往歴、服薬状況などを確認し、物忘れの特徴や日常生活への影響を把握することが目的とされています。

本人が症状をうまく説明できない場合もあるため、家族や身近な方からの情報が重要な判断材料になるケースも少なくありません。「いつ頃から変化があったか」「どのような場面で困りごとが生じているか」といった具体的な内容を共有することで、より正確な評価につながるでしょう。

知能検査

認知症の評価では、神経心理学的検査と呼ばれる認知機能テストが用いられます。質問や課題に答える形式で、記憶力や見当識、言語能力、注意力、計算力、実行機能などを多面的に確認する検査です。

代表的なものとしては、長谷川式簡易知能評価スケールやMMSEなどが知られており、短時間で認知機能の状態を把握できるとされています。これらの結果は単独で診断を決めるものではなく、他の検査結果とあわせて総合的に判断されるケースがほとんどです。

画像検査

画像検査では、CTやMRIを用いて脳の状態を確認します。脳の萎縮の程度や脳梗塞・脳出血の有無などを評価し、認知症の原因となる病変がないかを調べることが目的です。

必要に応じて、SPECTやPETといった検査が行われることもあり、脳血流や代謝の状態を確認することで認知症のタイプの鑑別や他の疾患との区別に役立つ場合があると考えられています。

血液検査

血液検査は、認知症と似た症状を引き起こす他の疾患の有無を確認するために行われます。甲状腺機能異常やビタミン不足、感染症、肝機能や腎機能の異常などが原因となっている可能性を調べるのが主な目的です。

これらの要因は適切な治療によって改善が見込めるケースもあるため、見落とさないことが重要といえるでしょう。近年では、認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)のリスク評価に関連する血液検査も登場しており、早期段階での把握に活用されることもあると考えられます。

脳波検査

脳波検査は、脳の電気的な活動を測定する検査です。認知症の診断において必ず実施されるわけではありませんが、症状や経過によっては補助的に行われることがあるとされています。

特に、意識障害や一過性の見当識障害などがみられる場合には、他の疾患との鑑別を目的として用いられるケースもあるでしょう。診断を補足するための情報として位置付けられる検査といえます。

物忘れで疑われる認知症の種類

物忘れの背景にはさまざまな認知症が関係している可能性があり、それぞれで症状の現れ方や進行の仕方に違いがあるとされています。記憶障害が中心となるタイプもあれば、行動や性格の変化が目立つものもあるため、特徴を理解しておくことが早期の気付きにつながると考えられるでしょう。

代表的な認知症の種類としては、以下が挙げられます。

  • アルツハイマー病
  • 脳血管性認知症
  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭葉変性症

それぞれについて、詳しく解説します。

アルツハイマー病

アルツハイマー病による認知症は、認知症の中でも多くを占めるタイプです。アルツハイマー病は脳内に異常なたんぱく質が蓄積し、神経細胞が徐々に減少することで発症すると考えられている疾患です。

初期には、物忘れが目立つ、最近の出来事を思い出せないといった記憶障害が出る傾向があります。進行に伴い時間や場所が分からなくなる見当識障害や判断力の低下がみられるようになり、日常生活に支援が必要となる場面が増えていくといえるでしょう。

同じ質問を繰り返す、置き忘れが増えるといった変化が続く場合には、このタイプが疑われるケースもあると考えられます。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって脳の血流が障害されることで発症する認知症です。障害された部位によって、症状が異なる点が特徴とされています。

記憶障害に加えて、手足のしびれや麻痺、歩行障害、言葉が出にくいといった神経症状がみられるケースも少なくありません。また、脳血管のトラブルが起こるたびに症状が段階的に悪化していく、経過を示すケースがあります。

こうした身体症状を伴う場合には、認知症だけでなく脳血管疾患の既往にも注意を向ける必要があるといえるでしょう。

レビー小体型認知症

レビー小体型認知症は、脳内にレビー小体と呼ばれる異常なたんぱく質が蓄積することで発症するとされています。認知機能の変動や幻視、パーキンソン症状などが特徴として知られるタイプです。

物忘れに加えて、実際には存在しないものが見えるといった具体的な幻視が現れることがあるとされています。さらに、手足の震えや筋肉のこわばり、睡眠中に大きく体を動かすといった症状がみられる場合もあり、認知症の多くを占めるアルツハイマー型とは症状の現れ方が異なる傾向があるといえるでしょう。

日によって認知機能の状態が大きく変わるような場合には、このタイプの可能性も視野に入ってきます。

前頭側頭葉変性症

前頭側頭葉変性症は、大脳の前頭葉や側頭葉を中心に神経変性が進行することで発症する疾患です。比較的若い年代(初老期)で発症するケースがある点も特徴で、ゆっくりと進行する認知機能障害とされています。

このタイプでは、記憶障害よりも行動や人格の変化が目立つ傾向があるのが特徴です。例を挙げると、それまではそういった傾向はなかった人物が社会的なルールから外れた行動をとる、衝動的な言動が増える、同じ行動を繰り返すといった変化がみられる場合があります。

また、言葉が出にくくなる失語症状が現れることもあり、コミュニケーションに影響が出るケースもあると考えられるでしょう。こうした変化が続く場合には、単なる物忘れとは異なる視点での評価が求められるといえます。

まとめ

物忘れがみられる場合でも、それだけで必ずしも認知症と判断されるわけではありません。加齢に伴う自然な変化として起こるケースも多く、まずは忘れ方の特徴や日常生活への影響を見極めることが重要とされています。

一方で、出来事そのものを忘れてしまう、同じことを繰り返す、時間や場所が分からなくなるといった変化がみられる場合には、認知症の可能性も否定できません。こうした症状が続く場合には、早めに医療機関へ相談することが望ましいといえるでしょう。

認知症の診断は、問診や認知機能検査、画像検査、血液検査などを組み合わせて総合的に行われます。検査によっては、認知症以外の原因が見つかり、適切な治療によって改善が期待できるケースもあるでしょう。

不安を感じた際には一人で抱え込まず、専門の医療機関に相談することが大切です。「ベストチョイス」では、物忘れ外来や認知症の診療に対応している医療機関を検索できるため、自身に合った受診先を探す際の参考になるでしょう。

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ベストチョイス編集部
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