【脳ドック】脳萎縮の原因とは?症状や認知症との関係についても解説
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脳萎縮の原因として考えられるものには、加齢や生活習慣、脳の病気などさまざまな要因があります。ただし、脳萎縮が見つかったからといって、必ずしも認知症にいたるとは限りません。加齢に伴う変化として認められるケースもあり、萎縮の程度や部位、日常生活での症状などを総合的に評価することが大切です。
本記事では、脳萎縮の原因として考えられる要因や、認知症との関係について解説します。
脳萎縮の原因として考えられるもの
脳萎縮の背景には、さまざまな要因がかかわると考えられています。加齢に伴う自然な変化の場合もあれば、生活習慣や脳の病気などが影響することもあるでしょう。
また脳萎縮という所見は単一の原因で生じるとは限らず、複数の要因が重なって現れることもあります。同じ程度の萎縮であっても、年齢や生活習慣、基礎疾患の有無によって意味合いが異なる場合もあります。こうした背景から、原因を一つに限定せず総合的に捉える視点が重要といえるでしょう。
ここでは、脳萎縮の原因として指摘されている、以下の主な要因について解説します。
- 加齢
- アルコール
- 外傷や変性疾患など
- ストレス
加齢
脳萎縮は、加齢に伴う変化として現れるケースが少なくありません。年齢を重ねるにつれて神経細胞の数が徐々に減少し、脳の体積や重量が少しずつ小さくなる傾向があるといわれています。
一般的には60歳頃から脳容量や脳重量の減少が目立ちやすくなるとされ、65歳前後になると画像検査で萎縮が確認されるケースもあるようです。ただし、このような変化は多くの人に見られるものであり、必ずしも病気を意味するわけではありません。
年齢相応の範囲内であれば、日常生活に大きな支障がない場合も少なくないと考えられます。
アルコール
アルコールの摂取量や飲酒習慣によっては、脳萎縮を進める危険因子のひとつであると指摘されています。特に1日2合以上の習慣的な飲酒では、飲酒量が少ない人に比べて脳萎縮の程度が強い傾向が見られたとする報告もあるため、注意が必要です。
さらに中年期から長期的に飲酒量を追跡した研究では、飲酒量が増えるほど記憶に関わる海馬の萎縮リスクが高まる傾向が確認されています。過度な飲酒は、脳の健康に影響を及ぼす可能性があると考えられるでしょう。
外傷や変性疾患など
脳萎縮は、頭部外傷による脳の損傷やアルツハイマー病といった神経変性疾患の影響で生じる神経細胞の脱落なども原因に含まれます。
こうした病的な脳萎縮では、加齢のみによる変化よりも特定の部位に強く高度な萎縮が生じる場合も少なくありません。症状の現れ方も原因となる疾患によって異なるといわれています。
ストレス
強いストレスや慢性的な不眠などの生活習慣も、脳の健康に影響する要因とされ、脳萎縮との関連も指摘されています。
ストレスそのものが、どのように脳の萎縮に影響を与えるかは研究段階です。しかし、ストレスに伴う生活習慣の乱れやホルモン変化などが脳の健康に影響しうると考えられています。
脳萎縮の症状
脳萎縮が進行すると、記憶だけでなく、言葉や動作、認識といったさまざまな脳の働きに影響が及ぶことがあります。これらはまとめて「高次脳機能」と呼ばれ、日常生活の質にも関わる重要な機能です。
ただし、脳萎縮があっても必ず症状が現れるわけではありません。変化の程度や部位によって現れ方は異なり、軽度であれば自覚しにくい場合もあるでしょう。ここでは、以下の代表的な症状について解説します。
- 記憶障害
- 見当識障害
- 失語
- 失行
- 失認
記憶障害
記憶障害は、脳萎縮に関連して見られる代表的な症状のひとつです。新しい出来事を覚えにくくなる、同じことを繰り返し尋ねるといった形で現れることが多いとされています。
昔の記憶は比較的保たれる傾向があり、その一方で最近の予定や会話の内容を思い出せないといった変化が目立つなど、周囲の人が違和感に気付くことも少なくありません。
見当識障害
時間や場所、状況などを正しく把握する力が低下した状態が見当識障害です。日付や曜日がわからなくなる、現在いる場所や帰り道がわからなくなるといった変化として現れることがあります。
初期の段階では軽度であっても、徐々に日常生活に影響を及ぼす可能性も否定できません。環境の変化に対応しづらくなるなど、生活の中で不安を感じる場面が増えることも考えられるでしょう。
失語
失語は、聴力や発声に問題がないにもかかわらず、言葉の理解や表現が難しくなる状態です。言いたい言葉が出てこない、会話の内容を理解しにくいといった変化が見られることがあります。
また、読み書きに支障が出る場合もあり、日常的なコミュニケーションに影響するケースも考えられるでしょう。症状の現れ方は人によって異なり、軽度から徐々に進行するケースもあるとされています。
失行
筋力や運動機能そのものに問題がないにもかかわらず、これまで行えていた日常動作や道具の使い方がうまくできなくなる状態を失行といいます。
着替え方がわからなくなる、箸や歯ブラシなど身近な道具の使い方がぎこちなくなるなど、日常生活上の一連の動作に支障が出るとされており、生活の自立度に影響を及ぼす可能性がある症状です。
失認
失認は、視力や聴力など感覚器官自体に問題がないのに、物の意味や人の顔、自分の体の状態などがうまく認識できなくなる状態です。
物と自分との位置関係がわかりにくくなる、見えていても何の物か判断できないといった症状が見られることがあり、進行すると生活上の危険につながることがあるとされています。
脳萎縮と認知症との関係
脳萎縮が指摘されると、「認知症になるのではないか」と不安に感じることもあるかもしれません。実際、脳の萎縮と認知機能の低下には一定の関連があると考えられています。
ただし、脳萎縮があることと認知症の発症は必ずしも一致するものではありません。萎縮の程度や部位、生活状況などを踏まえた総合的な評価が重要とされています。
ここでは脳萎縮と認知症との関係について、以下の視点から見ていきましょう。
- 必ずしも認知症にいたるとは限らない
- 認知症のリスクを高める可能性は指摘されている
- 認知症の約半数を占めるアルツハイマー病は海馬や頭頂葉の萎縮が見られる
それぞれについて、詳しく説明します。
必ずしも認知症にいたるとは限らない
脳ドックやMRI検査などで脳萎縮が見つかっても、日常生活に大きな支障がなければ認知症と診断されないケースもあります。特に加齢に伴う軽度の萎縮は多くの人に見られる変化であり、それ自体が即時に認知症を意味するわけではありません。
いわゆる「年齢相応」とされる範囲の変化であれば、認知症状が現れないまま経過する場合もあります。脳萎縮という所見だけで、過度に不安を感じる必要はないといえるでしょう。不安があれば医師に相談し、自己判断で思い込むのではなく正しい所見を得ることが大切です。
また、脳萎縮の評価では、どの部位に変化があるかも重要なポイントといえます。たとえば記憶に関わる海馬の萎縮が目立つ場合には、認知機能との関連を慎重に確認する必要があるでしょう。
一方で、萎縮があっても症状が安定している場合には、急激な変化とは捉えられないこともあります。こうした背景から、定期的な経過観察を通じて変化の有無を確認していく視点も重要といえるでしょう。
認知症のリスクを高める可能性は指摘されている
必ずしも脳萎縮がある=認知症、というわけではない一方、脳萎縮が認知症とまったく関係がないわけではありません。病的な脳萎縮や特定の部位に強い萎縮がみられる場合には、認知機能低下との関連が示唆されています。脳の変化が進行することで、記憶や判断力に影響が及ぶ可能性も考えられるでしょう。
ただし、脳萎縮の程度と症状の重さが必ずしも一致するとは限りません。同じ程度の萎縮があっても、日常生活に影響が少ないケースもあれば、症状が目立つケースもあるとされています。こうした点から、画像所見だけで判断するのではなく、問診や他の検査結果、生活状況などを含めた評価が重要といえるでしょう。
また、認知症にはアルツハイマー病以外にも、脳血管障害に関連する血管性認知症や、レビー小体型認知症など複数の種類があります。原因や進行の仕方はそれぞれ異なるため、一律に判断することは難しいとされているのも事実です。
認知症の約半数を占めるアルツハイマー病は海馬や頭頂葉の萎縮が見られる
認知症の中でも多くを占めるとされるアルツハイマー病では、脳の中でも記憶に関わる海馬の萎縮が特徴的とされています。海馬は新しい情報を記憶する役割を担っており、この部位の変化が記憶障害と関連すると考えられている点は、脳萎縮が認知症とまったく無関係ではないことを示しているといえるでしょう。
また、若年性アルツハイマー病では頭頂葉の萎縮が目立つケースもあり、空間認識や計算能力などに影響が及ぶ場合もあります。こうした部位ごとの変化は、症状の現れ方にも関係するといえるでしょう。
まとめ
脳萎縮の原因には、加齢による自然な変化のほか、アルコールの影響や外傷、神経変性疾患など、さまざまな要因が関係すると考えられています。生活習慣や体調の影響も含め、複数の要素が重なって現れるケースもあるでしょう。
また、脳萎縮が見られる場合でも、必ずしも認知症に至るとは限りません。年齢相応の変化として指摘されることもあり、画像所見だけで判断するのではなく、症状や日常生活への影響を含めた評価が重要です。
一方で、萎縮の部位や程度によっては認知機能の低下と関連する可能性もあり、気になる変化がある場合には専門医への相談が検討されます。早期に状態を把握しておくことで、今後の対策や生活の見直しにつなげやすくなるといえるでしょう。
ベストチョイスでは、脳ドックや専門医療機関に関する情報を掲載しています。気になる症状や不安がある方は、信頼できる医療機関を探す際の参考として活用してみてください。






