PMSで吐き気がする原因は?妊娠との違いや和らげる方法、受診の目安を解説
- 更新日
- 投稿日
PMS(月経前症候群)では、月経前のホルモン変動などに伴い、吐き気や胃の不快感が現れることがあります。PMSは一般に月経前3〜10日ほどの間に症状が現れ、月経が始まると軽くなったり消えたりするのが特徴です。
ただし、吐き気は妊娠初期や胃腸炎、片頭痛などでも起こるため、症状だけで原因を判断することはできません。本記事では、PMSに伴う吐き気の原因として考えられること、妊娠初期症状との違い、セルフケア、受診の目安について解説します。
- この記事でわかること
-
- PMSに伴う吐き気が起こる時期と、考えられる原因
- 妊娠初期のつわりとの違い・見分け方
- PMS以外で吐き気を起こす病気との違い
- 吐き気を和らげるセルフケアの方法
- 医療機関を受診すべき目安・危険なサイン
PMSの吐き気はいつから、いつまで続く?
PMSは、月経前3〜10日ほどの間に続く心身の症状で、月経が始まると軽快または消失するものとされています。
吐き気についても、月経予定日の数日前から現れ、月経開始に伴って軽くなる場合があります。ただし、症状が現れる時期や強さ、軽快するまでの期間には個人差があります。
吐き気が月経周期と関係なく続く場合や、月経が始まっても改善しない場合は、PMS以外の原因も考える必要があります。症状が現れた日や月経開始日を記録しておくと、月経周期との関係を確認しやすくなります。
妊娠初期のつわりとの違い
PMSによる吐き気と妊娠初期の吐き気は症状が似ており、吐き気の強さや感じ方だけで確実に見分けることはできません。月経の有無や妊娠検査薬の結果なども含めて判断する必要があります。
症状が現れる時期の違い
PMSによる症状は月経前に繰り返し現れ、月経が始まると軽快する傾向があります。
一方、妊娠に伴う吐き気は妊娠初期に始まり、月経予定日を過ぎても続くことがあります。ただし、吐き気が始まる時期や症状の強さには大きな個人差があります。
においに敏感になる、乳房が張る、眠気が強くなるといった症状も妊娠初期にみられることがありますが、PMSでも起こる可能性があるため、これらの症状だけで妊娠を判断することはできません。
見分けるときのポイント
月経予定日を過ぎても月経が来ず、妊娠の可能性がある場合は、妊娠検査薬を使用しましょう。検査できる時期は製品によって異なるため、添付文書に記載された使用時期や方法を守ることが大切です。
検査結果が陰性でも月経が来ない場合や、吐き気などの症状が続く場合は、数日後に再検査するか産婦人科へ相談してください。
基礎体温の高温期が続くことは妊娠を考える手がかりの一つですが、体調や睡眠、測定条件によっても変化するため、基礎体温だけで妊娠の有無を確定することはできません。
PMSに伴う吐き気の原因として考えられること
PMSの詳しい原因は、まだ完全には解明されていません。排卵後に起こる女性ホルモンの変動や、それに伴う脳内物質、自律神経、体液バランスなどの変化が複合的に関係すると考えられています。
吐き気についても一つの原因で起こるとは限らず、次のような要因が影響している可能性があります。
女性ホルモンの変動
月経周期では、エストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの分泌量が変化します。排卵後から月経までの黄体期には、これらのホルモンが大きく変動します。
こうした変化に対する体の反応には個人差があり、胃の不快感、食欲の変化、吐き気、便秘などが現れる場合があります。
むくみや腹部膨満感
月経前には体液バランスの変化によって、むくみや腹部膨満感、一時的な体重増加を感じることがあります。
お腹の張りや胃の不快感が強くなると、食欲低下や吐き気として感じられる場合があります。これらの症状は、月経が始まると徐々に軽くなるのが一般的です。
月経開始前後のプロスタグランジンの影響
月経開始前後には、子宮内膜からプロスタグランジンという物質が産生されます。プロスタグランジンは子宮を収縮させるほか、消化管にも作用するため、月経痛とともに吐き気や下痢などが起こることがあります。
吐き気が月経開始後に強くなり、強い月経痛を伴う場合は、PMSだけでなく月経困難症が関係している可能性もあります。
ストレスや自律神経への影響
ストレスや疲労、睡眠不足などが重なると、自律神経のバランスが崩れ、胃腸の働きに影響することがあります。
月経前に限らず、緊張したときや疲れがたまったときにも吐き気が出る場合は、ホルモン変動に加えてストレスなどが影響している可能性があります。
PMS以外で吐き気を起こす病気との違い
吐き気はPMS以外の病気でも起こります。月経周期との関連がはっきりしない場合や、いつもと異なる症状がある場合は、他の原因も考えておくことが大切です。
食中毒・胃腸炎
食中毒や胃腸炎では、吐き気や嘔吐に加えて、発熱、下痢、腹痛などが現れることがあります。周囲に同じ症状の人がいる場合や、特定の食事後に急に症状が出た場合にも注意が必要です。
水分を摂れない、嘔吐や下痢が続く、強い腹痛や発熱を伴う場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
片頭痛
片頭痛では、頭の片側または両側にズキズキとした痛みが現れ、吐き気や嘔吐、光や音への過敏さを伴うことがあります。
月経前や月経中に片頭痛が悪化する人もいます。強い頭痛と吐き気を繰り返す場合は、婦人科のほか、頭痛外来や脳神経内科への相談も検討しましょう。
月経困難症
月経中の強い下腹部痛や腰痛に、吐き気、頭痛、下痢などを伴う場合は、月経困難症の可能性があります。
症状の背景に子宮内膜症や子宮筋腫などが隠れている場合もあるため、月経痛が強く日常生活に支障がある場合は、婦人科での検査をおすすめします。
PMDD(月経前不快気分障害)
月経前の強いイライラ、抑うつ、不安、感情の不安定さなどによって、仕事や学校、人間関係に大きな支障が出る場合は、PMDDの可能性があります。
精神症状が強い場合や、自分を傷つけたいと感じる場合は、一人で抱え込まず、速やかに婦人科や精神科、心療内科などへ相談してください。
吐き気と一緒に現れやすい症状
吐き気は単独で現れる場合もありますが、頭痛、めまい、胃の不快感などを伴うこともあります。随伴症状を確認することで、PMS以外の原因に気づきやすくなります。
頭痛を伴う場合
吐き気に頭痛が伴う場合は、片頭痛や緊張型頭痛などが関係している可能性があります。
ズキズキと脈打つような痛みがあり、光や音がつらい場合は片頭痛の可能性があります。頭全体が締め付けられるように痛む場合は、緊張型頭痛の可能性があります。
突然起こった激しい頭痛、手足のしびれ、ろれつが回らない、意識がぼんやりするといった症状がある場合は、速やかな受診が必要です。
めまい・ふらつきを伴う場合
月経前の体調変化や睡眠不足、食事量の低下などによって、めまいやふらつきを感じることがあります。
一方、月経量が多い人では貧血が関係している可能性もあります。動悸、息切れ、強い疲労感などを伴う場合や、症状を繰り返す場合は、婦人科や内科へ相談しましょう。必要に応じて血液検査などが行われます。
胃痛・胸焼けを伴う場合
吐き気に胃痛、胸焼け、食欲不振などを伴う場合は、胃腸の働きの変化だけでなく、胃炎や胃食道逆流症などが関係していることもあります。
脂っこい食事や就寝直前の食事を控え、胃に負担をかけないようにしましょう。症状が月経周期と関係なく続く場合は、内科や消化器内科への相談も検討してください。
PMSの吐き気を和らげる方法
少量ずつ食べる
一度に多く食べると胃に負担がかかり、吐き気が強くなることがあります。空腹でも気分が悪くなる場合があるため、食べられる範囲で少量ずつ、回数を分けて摂りましょう。
おかゆ、うどん、豆腐、スープ、白身魚など、比較的消化しやすいものを選ぶ方法があります。ただし、食べやすい食品には個人差があるため、無理に特定の食品を摂る必要はありません。
脂っこいもの、香りの強いもの、刺激の強い食品、アルコールなどで症状が悪化する場合は、摂取を控えましょう。
水分を少量ずつ摂る
吐き気があるときに一度に大量の水分を摂ると、かえって気分が悪くなることがあります。常温の水や麦茶などを、少量ずつこまめに摂りましょう。
嘔吐や下痢がある場合は脱水になりやすいため注意が必要です。水分をほとんど摂れない場合や、尿量が極端に減っている場合は、医療機関へ相談してください。
体調に合わせて軽く体を動かす
ウォーキング、ヨガ、ストレッチなどの軽い運動は、PMS症状の軽減に役立つ可能性があります。
体調が良い日に、会話ができる程度の強度から無理なく始めましょう。吐き気やめまいが強いときは運動を中止し、休むことを優先してください。
睡眠と休息を確保する
睡眠不足や疲労は、吐き気や頭痛、気分の不調を悪化させることがあります。起床時間と就寝時間をできるだけ一定にし、十分な休息を取りましょう。
就寝直前までスマートフォンを見る習慣や、夕方以降の過剰なカフェイン摂取で眠りにくくなる場合は、生活習慣を見直すことも大切です。
リラックスできる環境をつくる
ぬるめの入浴、深呼吸、締め付けの少ない服装など、自分が心地よいと感じる方法を取り入れましょう。
温かい飲み物や、手首にある「内関」への刺激で吐き気が和らぐ人もいますが、効果には個人差があります。
ハーブや生薬を含む製品は、妊娠の可能性がある場合や薬を服用している場合、使用前に医師や薬剤師へ相談してください。
市販薬・漢方薬を使用するときの注意
PMSに伴う症状に対して、漢方薬などが用いられることがあります。ただし、同じPMSでも適した薬は症状や体質によって異なります。
妊娠の可能性がある人、持病がある人、ほかの薬を服用している人は、自己判断で使用せず、事前に医師または薬剤師へ確認しましょう。
市販薬を使用しても症状が改善しない場合や、毎月薬が必要になる場合は、婦人科への相談をおすすめします。
PMSの吐き気が収まらない場合
医療機関を受診する目安
次のような場合は、PMSだと自己判断して様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。
- 水分や食事をほとんど摂れない
- 嘔吐を繰り返している
- 尿が極端に少ない、口が強く乾くなど脱水が疑われる
- 発熱、頻回の下痢、強い腹痛を伴う
- 激しい下腹部痛や、いつもと明らかに異なる痛みがある
- 吐血や黒い便が出る
- 短期間で体重が大きく減少した
- 症状が月経開始後も続く、または月経周期と関係なく現れる
- 吐き気によって仕事、学校、家事などに支障が出ている
妊娠の可能性がある場合の危険なサイン
妊娠の可能性があり、次のような症状がある場合は、異所性妊娠など緊急性のある状態も考えられます。夜間や休日であっても、救急相談窓口や産婦人科へ速やかに連絡してください。
- 片側に偏った強い下腹部痛がある
- 性器出血や褐色のおりものがある
- 肩先に痛みを感じる
- 立っていられないほどふらつく
- 意識が遠のく、または失神した
医療機関で行われる確認・治療
婦人科では、症状が現れる時期、月経周期との関係、症状の強さ、日常生活への影響などを確認します。
症状日誌を記録し、症状が月経前に繰り返し現れて、月経開始後に軽快するかを確認することも診断に役立ちます。
必要に応じて、妊娠、貧血、甲状腺疾患、片頭痛、消化器疾患など、似た症状を起こす別の病気がないかを調べます。
治療では、症状や体質、妊娠希望の有無などに応じて、生活習慣の改善、低用量ピルなどのホルモン療法、漢方薬、精神症状に対する薬などが検討されます。
症状がつらい場合は、我慢を続けず一度婦人科を訪ねてみましょう。
PMSの吐き気を予防・管理するためのセルフケア
症状日誌をつける
吐き気が現れた日、月経開始日、食事、睡眠、ストレス、服用した薬などを記録しておくと、症状と月経周期との関係を確認しやすくなります。
少なくとも数周期記録すると、自分の症状が出やすい時期や、悪化しやすい条件を把握する手がかりになります。受診時に医師へ状況を説明するときにも役立ちます。
規則正しい生活を心がける
栄養バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠を継続することは、体調を整えるうえで重要です。
食事を抜く、夜更かしを続ける、アルコールやカフェインを過剰に摂るといった習慣で症状が悪化する場合は、無理のない範囲で見直しましょう。
ストレスをため込まない
ストレスや疲労が重なると、PMSの症状を強く感じることがあります。予定を詰め込みすぎず、休息や気分転換の時間を確保しましょう。
症状が出やすい時期を把握できている場合は、可能な範囲で重要な予定を調整したり、家族や職場にあらかじめ体調について伝えたりする方法もあります。
よくある質問
Q.PMSの吐き気は何日前から始まりますか?
PMSは一般に月経前3〜10日ほどの間に現れ、月経が始まると軽快または消失します。ただし、症状が始まる時期や続く期間には個人差があります。
症状日誌をつけ、吐き気が毎回同じような時期に現れるかを確認すると、自分の傾向を把握しやすくなります。
Q.吐き気が妊娠によるものか、PMSによるものか判断できますか?
吐き気などの症状だけでは判断できません。月経予定日を過ぎても月経が来ず、妊娠の可能性がある場合は、製品の添付文書に記載された時期に妊娠検査薬を使用してください。
陰性でも月経が来ない場合や症状が続く場合は、数日後にあらためて検査するか、産婦人科で状況を確認してもらいましょう。
Q.市販薬や漢方薬は自己判断で使用してよいですか?
薬によっては、妊娠中に使用を避けた方がよいものや、ほかの薬との飲み合わせに注意が必要なものがあります。
妊娠の可能性がある場合、持病がある場合、ほかの薬を服用している場合は、使用前に医師または薬剤師へ一度ご確認ください。
Q.吐き気に強い頭痛やめまいを伴う場合、様子を見てもよいですか?
片頭痛、貧血、感染症など、PMS以外の原因が隠れていることがあります。症状が強い、何度も繰り返す、日常生活に支障がある場合は、早めに受診しておくと安心です。
突然の激しい頭痛、手足のしびれ、意識の異常、失神などを伴う場合は、速やかな受診が必要です。
Q.低用量ピルを服用していても吐き気が出ることはありますか?
低用量ピルの服用中に吐き気を感じることはあります。月経前の症状とは限らず、薬の副作用などが関係している可能性もあります。
吐き気がつらい場合や長く続く場合は、自己判断で服用を中止せず、処方した医師へ相談してください。
まとめ
PMSでは、月経前のホルモン変動などに伴い、吐き気や胃の不快感が現れることがあります。一般に月経前3〜10日ほどの間に症状が現れ、月経開始に伴って軽くなるのが特徴です。
ただし、吐き気は妊娠初期、胃腸炎、片頭痛、月経困難症などでも起こります。吐き気の症状だけで、PMSと妊娠を確実に見分けることはできません。
食事や水分を少量ずつ摂る、十分に休む、症状日誌をつけるなどのセルフケアを行いながら経過を確認しましょう。
水分を摂れないほど吐き気が強い場合、激しい腹痛や発熱を伴う場合、症状が日常生活に支障を与えている場合は、我慢せず早めに婦人科を受診しましょう。
参考資料
- こども家庭庁「PMS(月経前症候群)とは?生理前の症状への対処と治療」
- 厚生労働省「月経について」
- 厚生労働省「働く女性とPMS」
- 日本産科婦人科学会「月経前症候群」
- 日本女性心身医学会「月経前症候群」
- たまひよ「妊娠検査薬はいつから使える? 正しい使い方と適切なタイミング【医師監修】」






