バリウム検査後の下剤を飲まないとどうなる?リスクと対処法

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胃部X線検査(バリウム検査)の後に渡される下剤は、飲んだバリウムを便として排出しやすくするためのものです。自己判断で省略すると、バリウムが消化管内にとどまり、便秘や排便困難につながることがあります。まれですが、腸閉塞や腸管穿孔などの合併症が報告されています。

下剤を飲み忘れた場合は、検査時に渡された説明書を確認してください。服用時刻や追加服用の方法が分からない場合は、自己判断で下剤や市販の便秘薬を使わず、検査を受けた機関へ連絡します。

強い腹痛や腹部の張り、繰り返す嘔吐、便もガスも出ない状態などがある場合は、追加の下剤を飲んで様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。

本記事では、検査後に下剤が処方される理由、飲まない・飲み忘れた場合の対応、排便がない場合の相談先、受診を検討する症状を整理します。下剤の種類や服用方法は検査機関によって異なるため、記事よりも検査時の説明書と医療者の指示を優先してください。

この記事でわかること
  • バリウム検査後に下剤が必要な理由
  • 下剤を飲まない場合に起こり得ること
  • 下剤を飲み忘れたときの確認事項
  • 排便がない場合の相談先と受診目安
  • 下剤を飲みにくい場合に事前に伝えたいこと

バリウム検査後に下剤が処方される理由

バリウム検査では、X線に写る硫酸バリウムを飲み、食道や胃、十二指腸の形や粘膜の状態を撮影します。硫酸バリウムは消化管からほとんど吸収されないため、検査後は便として排出する必要があります。

消化管内にバリウムが長くとどまると、水分が少なくなって硬くなり、排出しにくくなることがあります。そのため、検査後には下剤の服用や水分摂取など、バリウムの排出を促すための案内が行われます。

使用される下剤の種類、量、服用する時刻、追加服用の条件は、検査機関や受診者の排便状態などによって異なります。配布された下剤を自己判断で減らしたり、別の便秘薬に変更したりせず、説明書に従ってください。

普段から便秘がある人、過去に腸閉塞を起こしたことがある人、腹部の手術を受けたことがある人、服用中の薬がある人は、検査前にその内容を伝えることが重要です。検査機関が、下剤の使用方法や検査後の対応を判断するための情報になります。

参考:PMDA「バリトゲンHD 添付文書」

バリウムの停留で起こり得ること

下剤を飲まなかった場合に、必ず合併症が起こるわけではありません。ただし、バリウムの排出が遅れると、便秘や排便困難、腹痛、腹部膨満、吐き気などが現れることがあります。

また、消化管内にバリウムが停留することで、まれに腸閉塞や腸管穿孔(腸の壁に穴が開く状態)などが起こることも報告されています。こうした合併症の頻度は高くありませんが、症状がある場合は早期の対応が必要です。

必要以上に不安になるのではなく、検査時の指示に従って下剤を服用し、排便の有無と腹部症状を確認することが重要です。

参考:PMDA「硫酸バリウム製剤による重篤な副作用について」

下剤を飲まない・飲み忘れた場合の対応

下剤を飲み忘れたことに気づいても、すべての場合に「すぐ飲めばよい」とは限りません。下剤の種類や、検査から経過した時間、すでに排便があるか、腹痛や腹部膨満があるかによって対応が異なります。

最初に確認すること

  • 検査時に渡された説明書や注意事項
  • 下剤を服用するよう指定された時刻
  • すでに排便があったか
  • 腹痛、腹部膨満、吐き気、嘔吐がないか
  • 便やガスが出ているか
  • 追加の下剤に関する指示が記載されているか

説明書を確認しても対応が分からない場合は、検査を受けた機関へ連絡してください。連絡時には、検査を受けた時刻、下剤を飲んでいないこと、排便の有無、現在の症状を伝えます。

自己判断で行わないこと

  • 配布された下剤をまとめて服用する
  • 指示されていない量を追加する
  • 家族の下剤や市販の便秘薬を使用する
  • 腹痛や嘔吐がある状態で、下剤を追加して様子を見る
  • 便が出ない状態を放置する

下剤を追加する必要があるかどうかは、検査機関や医師が排便状況と症状を確認して判断します。持病や服用中の薬によっては、使用できる下剤や水分摂取の方法に注意が必要です。

心臓病や腎臓病などで水分摂取量を制限されている人は、バリウムを排出しようとして自己判断で水分量を増やさず、医師または検査機関へ確認してください。

排便がない場合と受診の目安

下剤を服用しても排便がない場合は、検査時に渡された説明書に記載された連絡目安を確認します。下剤の効き方や排出までの時間には個人差があるため、記事内の時間だけで追加服用や受診の要否を判断することはできません。

排便がないだけでなく、腹痛、腹部膨満、吐き気などを伴う場合は、バリウムの排出が遅れている可能性があります。自己判断で下剤を追加せず、検査を受けた機関へ連絡してください。

救急相談・救急受診を検討する症状

  • 強い腹痛、または急速に悪化する腹痛がある
  • おなかが強く張り、苦しさが続いている
  • 嘔吐を繰り返している
  • 便もガスも出ない
  • ぐったりしている、冷や汗が出る
  • 呼びかけへの反応が鈍い、意識がはっきりしない

これらの症状は、腸閉塞など緊急性のある状態でも見られます。自力での移動が難しい、症状が急速に悪化している場合は、119番への連絡を検討してください。

速やかに検査機関へ連絡する状態

  • 指示された下剤を服用しても排便がない
  • 排便しにくい状態が続いている
  • 軽度でも腹痛、腹部膨満、吐き気が続いている
  • 下剤を飲み忘れ、今から服用してよいか分からない
  • 追加の下剤を使用するよう書かれているが、方法が分からない
  • 排便はあったものの、腹部症状が改善しない

連絡時には、検査を受けた日時、下剤を服用したか、排便の回数、便やガスが出ているか、腹痛・嘔吐の有無を伝えます。検査時の説明書や下剤の袋を手元に用意すると、薬の種類や指示内容を確認しやすくなります。

便の色は排出状況の参考にする

検査後は、バリウムを含む白っぽい便が出ることがあります。その後、通常に近い色へ戻ることは排出状況を知る参考になりますが、便の色だけでバリウムが完全に排出されたとは断定できません。

便の色が戻っていても、腹痛、腹部膨満、嘔吐、排便困難などがある場合は、検査機関または医療機関へ相談してください。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「硫酸バリウム製剤による重篤な副作用について」

下剤を飲みにくい場合の相談ポイント

下剤で腹痛や下痢が起きた経験がある、薬を飲み込みにくい、味やにおいに強い抵抗があるといった場合は、検査当日に黙って服用を省略するのではなく、検査前に健診機関や医師へ伝えます。

相談時には、次の情報を具体的に伝えてください。

  • 過去に下剤を服用した際に起きた症状
  • 普段の排便回数や便秘の有無
  • 腸閉塞や腹部手術の経験
  • 心臓病、腎臓病などの持病
  • 服用中の処方薬、市販薬、サプリメント
  • 薬を飲み込むことへの不安
  • 妊娠中または妊娠の可能性があるか
  • 授乳中であるか

使用される下剤の種類、量、服用時刻は検査機関によって異なります。過去の症状や排便状態は、医師や検査機関が検査後の対応を検討するための情報になります。

妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、放射線を使用する検査を実施するかどうかも含め、検査前に必ず申告してください。授乳中の場合は、使用される下剤の名称を確認し、医師または薬剤師の指示を受けます。

検査後の水分・食事で確認したいこと

検査後は、検査機関から渡された説明書に従って水分と食事をとります。水分摂取はバリウムの排出を促すために案内されますが、全員に共通する摂取量が決まっているわけではありません。

  • 検査機関から指示された方法で水分をとる
  • 食事再開の時刻や内容に指示がある場合は従う
  • 排便の有無と腹部症状を確認する
  • 追加の下剤を使用する条件を説明書で確認する
  • 腹痛や吐き気がある場合は、無理に飲食せず連絡する

特定の食品や飲料だけでバリウムを確実に排出できるわけではありません。食物繊維、発酵食品、運動などを自己判断で追加するよりも、まず検査機関の指示と排便状況を確認してください。

心臓病や腎臓病などで水分制限を受けている人は、普段の制限を超えて水分をとらず、検査前または検査後に医師へ確認します。

アルコールやカフェインを含む飲料の扱いも、体調や検査機関の指示によって異なります。検査当日の飲食について案内がある場合は、その内容を優先してください。

参考:日本消化器がん検診学会「胃がん検診のための胃X線検査マニュアル2025改訂第3版(概要版)」

次回の検査方法に不安がある場合

下剤への不安が強い場合や、過去にバリウム検査後の排便で苦労した場合は、次回の健診を予約する前に検査方法を相談できます。

胃部X線検査と上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、検査方法、確認できる内容、身体への負担、前後の注意事項が異なります。上部消化管内視鏡検査では胃の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織を採取できますが、挿入時の負担や鎮静薬に関する注意もあります。

参考:日本消化器内視鏡学会「上部消化管内視鏡検査と治療」

どちらの検査が適しているかは、年齢、既往歴、検査目的、健診制度などによって異なります。健診機関や医師へ、それぞれの検査の特徴を確認したうえで選択してください。

次回の検査方法を相談できることと、今回のバリウム検査後に処方された下剤を自己判断で省略できることは別です。

よくある質問

Q. バリウム検査後の下剤は必ず飲む必要がありますか?

原則として、検査機関から指示された方法で服用してください。下剤は、バリウムの排出を促し、消化管内への停留を防ぐ目的で渡されます。

過去に下剤で強い腹痛や下痢が起きた、持病や服用中の薬があるなど、服用に不安がある場合は、自己判断で省略せず検査機関へ相談してください。

Q. 下剤を飲み忘れた場合はどうすればよいですか?

まず、検査時に渡された説明書を確認してください。服用する時刻を過ぎている、今から飲んでよいか分からない、追加服用の方法が不明な場合は、検査を受けた機関へ連絡します。

すでに腹痛、腹部膨満、吐き気、嘔吐などがある場合は、自己判断で下剤を追加せず、症状を伝えて指示を受けてください。

Q. 下剤を飲んでも排便がない場合はどうしますか?

下剤の効き方や排便までの時間は、使用した薬や普段の便通によって異なります。説明書に記載された連絡目安を確認し、排便がない状態が続く場合は検査機関へ相談してください。

市販の便秘薬や残っている下剤を自己判断で追加することは避けます。腹痛やおなかの張り、吐き気などを伴う場合は、その症状もあわせて伝えてください。

Q. 腹痛や嘔吐がある場合は受診が必要ですか?

強い腹痛、強い腹部膨満、繰り返す嘔吐、便もガスも出ない状態は、速やかな医療相談が必要な症状です。症状が急速に悪化している、自力で移動できない、意識がはっきりしない場合は、119番への連絡を検討してください。

軽度であっても腹痛や吐き気が続く場合は、下剤を追加して様子を見るのではなく、検査を受けた機関へ連絡します。

Q. 下剤を飲みにくい場合は別の方法がありますか?

使用する下剤の種類や服用方法を調整できるかどうかは、普段の便通、持病、服用中の薬などによって異なります。過去に下剤で起きた症状や飲みにくさを、検査前に健診機関や医師へ伝えてください。

次回以降の検査については、胃部X線検査と上部消化管内視鏡検査の特徴を比較し、別の検査方法を選べるか相談することもできます。ただし、今回の検査後に指示された下剤を自己判断で省略してよいという意味ではありません。

まとめ

バリウム検査後の下剤は、飲んだバリウムの排出を促すために使用されます。自己判断で省略・増量したり、市販の便秘薬へ変更したりせず、検査時に渡された説明書と検査機関の指示に従ってください。

下剤を飲み忘れた、服用しても排便がない、追加服用の方法が分からない場合は、検査を受けた機関へ連絡します。便の色は排出状況の参考になりますが、色だけで完全に排出されたとは判断できません。

強い腹痛や腹部膨満、繰り返す嘔吐、便もガスも出ない状態、意識の変化がある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。

本記事は一般的な医療情報であり、個別の服薬指示や診断、治療を代替するものではありません。

参考資料

  • PMDA「バリトゲンHD 添付文書」
  • PMDA「硫酸バリウム製剤による重篤な副作用について」
  • 日本消化器がん検診学会「胃がん検診のための胃X線検査マニュアル2025改訂第3版」
  • 日本消化器内視鏡学会「上部消化管内視鏡検査と治療」
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ベストチョイス編集部
ベストチョイス編集部

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