むくみを放置するとどうなる?危険なサインと受診の目安をやさしく解説

投稿日
目次

夕方になると足がパンパンになる、靴下の跡がなかなか消えない――こうしたむくみは多くの人が経験する身近な不調です。

一方で、「いつものこと」と放置してよいものばかりではありません。生活習慣が関係する一時的なむくみもありますが、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、血管などの病気が隠れていることもあります。

とくに、片足だけが急に腫れて痛む場合は、深部静脈血栓症などが関係していることがあります。胸の痛み、強い息苦しさ、呼吸困難、失神、意識がぼんやりする症状を伴う場合は、肺塞栓症など緊急性の高い状態も考えられるため、救急受診してください。

本記事では、むくみを放置するとどうなるか、危険なサインの見分け方、受診の目安、何科に行けばよいか、自宅でできるケアまでを整理します。気になる症状がある場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。

この記事でわかること
  • 一過性のむくみと、病気が背景にあるむくみの見分け方
  • むくみを放置した場合に起こりうるリスク
  • すぐに受診したほうがよい危険なサイン
  • むくみで受診する診療科の選び方
  • 自宅でできるセルフケアと注意点

むくみ(浮腫)とはどのような状態か

むくみは医学的には「浮腫(ふしゅ)」と呼ばれ、血管やリンパ管からしみ出した水分が、細胞と細胞のあいだに過剰にたまった状態を指します。皮膚や皮下組織が腫れぼったくなり、足の重だるさ、靴のきつさ、靴下の跡が残るといった症状として現れます。

むくみは重力の影響を受けやすいため、立っている時間が長いと足やふくらはぎに、横になっている時間が長い場合は背中や顔まわりに出やすくなります。

長時間の同じ姿勢、塩分やアルコールのとりすぎなどによる一時的な(一過性の)むくみは、休息や生活習慣の調整で軽くなることが大半です。しかし、むくみが何日も続く、左右差がある、あるいは他の症状を伴う場合は、体の不調が隠れているサインかもしれません。

むくみが出る範囲も重要な手がかりです。両足に左右対称に出る場合は、生活習慣のほか心臓や腎臓など全身の関わる病気が、片足だけに出る場合はその足の血管やリンパの流れの問題が疑われます。まずは自分のむくみの特徴(期間、左右差、部位)を意識して観察することが対処の出発点になります。

参考:MSDマニュアル家庭版|腫れ

参考:国立がん研究センター がん情報サービス|リンパ浮腫

一過性のむくみと病気が背景にあるむくみの見分け方

むくみには、生活習慣による一過性のものと、病気が背景にあるものがあります。完全に線引きできるわけではありませんが、以下の傾向を知っておくと受診の目安になります。

一過性のむくみに多い傾向 注意したいむくみの傾向
夕方に強く、ひと晩休むと軽くなる 何日も続く、朝も残る
両足に同じように出る 片足だけ、左右差が大きい
立ち仕事、塩分、飲酒など心当たりがある 心当たりがなく急に出た
ほかの症状を伴わない 息切れ、動悸、胸の痛み、急な体重増加を伴う
足を上げる、休むなどで軽くなる セルフケアをしても改善しない、悪化する

特に、すねを指で押すとへこんだまま戻りにくい状態(圧痕性浮腫)が続いたり、セルフケアをしても改善しなかったりする場合は、背景に病気が隠れている可能性があるため、医療機関への相談を検討してください。

むくみを放置するとどうなるか

むくんだ状態を長く放置すると、皮膚が硬くなったり色素沈着が起きたりするだけでなく、傷や潰瘍ができやすくなります。さらに、細菌感染症である「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」を繰り返すリスクも高まります。特にリンパ浮腫では、皮膚組織が線維化して硬くなるとセルフケアでの改善が困難になります。

最も懸念されるのは、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺などの病気を見過ごしてしまうことです。むくみや急激な体重増加は、これらの臓器の機能低下を知らせる初期サインであるケースが少なくありません。「いつものこと」と放置すると、病気が気づかないうちに進行してしまうおそれがあります。

また、足の重だるさから歩行が億劫になるなど、生活の質の低下にもつながります。長引くむくみや悪化傾向にある場合は、様子を見続けず早めの受診が望ましいです。

むくみの背景に隠れていることがある病気

むくみの原因はさまざまですが、ここでは背景に隠れていることがある代表的な病気を整理します。これらは自己診断するためのものではなく、「むくみが病気のサインになりうる」ことを知るための情報としてお読みください。

心不全

心臓のポンプ機能が低下すると、血液を全身へ送り出す力が弱まり、体に水分がたまりやすくなることがあります。

両足のすねや足首にむくみが出やすく、動いたときの息切れ、横になると苦しく起き上がると楽になる、動悸、短期間の体重増加といった症状を伴うことがあります。

たとえば、1週間で2〜3kg以上増えるなど、短期間で体重が増え、足のむくみが強くなる場合は、心不全の悪化が関係していることがあります。心臓の病気が疑われるむくみは、早めの評価が望まれます。

参考:国立長寿医療研究センター|息切れや足のむくみ ~もしや心不全?~

腎臓の病気

腎臓は、余分な水分や塩分を尿として排出する役割を担っています。腎臓の働きが低下したり、尿にたんぱくが多く出てしまったりすると、体に水分がたまりやすくなることがあります。

顔やまぶたのむくみ、足のむくみ、尿の量の変化、尿が泡立つ、健康診断でたんぱく尿や血尿を指摘されたといった場合は、腎臓の病気が関係している可能性があります。

参考:日本腎臓学会|腎臓病の症状 むくみ

肝臓の病気

肝臓は、血管内に水分を保つたんぱく質であるアルブミンをつくる臓器でもあります。肝硬変などで肝臓の働きが低下すると、血管内に水分を保ちにくくなり、足のむくみやお腹に水がたまる腹水が現れることがあります。

お腹の張り、黄疸、強いだるさ、食欲低下などを伴う場合は、医療機関で相談しましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンが不足すると、顔やまぶた、手足がむくみやすくなることがあります。この場合のむくみは、押してもへこみにくい非圧痕性のむくみとして現れることがあります。

疲れやすさ、寒がり、体重増加、動作が遅くなる、便秘、声のかすれなどを伴う場合は、甲状腺の病気が関係していることがあります。

参考:日本内分泌学会|甲状腺機能低下症

下肢静脈瘤

足の静脈にある、血液の逆流を防ぐ弁の働きが弱まると、血液が足にたまりやすくなります。その結果、夕方の足のむくみ、だるさ、こむら返り、こぶのように浮き出た血管などがみられることがあります。

加齢、立ち仕事、妊娠などが関係することがあります。進行すると、皮膚のかゆみ、色素沈着、皮膚炎、潰瘍につながる場合があります。

深部静脈血栓症

深部静脈血栓症は、足の深いところを走る静脈に血のかたまりである血栓ができる状態です。片足だけが急に腫れ、痛み、赤み、熱感を伴うことがあります。

血栓がはがれて肺の血管に詰まると、肺塞栓症につながることがあります。胸の痛み、強い息苦しさ、呼吸困難、失神、意識がぼんやりする症状を伴う場合は、救急受診してください。

参考:厚生労働省|深部静脈血栓症・肺塞栓症について

これらの病気は、医療機関で問診や診察、必要に応じた検査を行ったうえで判断されます。原因によって対処が大きく異なるため、自己判断で「ただのむくみ」と決めつけないことが大切です。関係する病気や検査の必要性には個人差があります。

すぐに受診したほうがよい危険なサイン

むくみの中に、以下のような症状を伴う「危険なサイン」がある場合は、放置せず直ちに医療機関を受診してください。

  • 片足だけが急に腫れ、痛みや赤み、熱感を伴う
  • 胸の痛み、強い息苦しさ、呼吸困難がある
  • 失神した、または意識がぼんやりする
  • 息切れや動悸があり、横になるとさらに苦しい
  • 短期間で急激に体重が増えた、または全身がむくんできた
  • 尿の量が極端に減った、または尿が泡立つ
  • 顔やまぶたが強くむくむ
  • 妊娠中に急なむくみ、頭痛、血圧上昇、視覚異常を伴う

特に、片足の急激な腫れ・痛みや、胸痛・呼吸困難・失神を伴う場合は、深部静脈血栓症や肺塞栓症などの重篤な病気の可能性が高いため、直ちに救急受診してください。また、持病(心臓・腎臓など)がある方や妊娠中の方、高齢の方も、急な変化があれば速やかにかかりつけ医等に相談しましょう。

むくみは何科を受診すればよいか

むくみの特徴や随伴症状によって、目安となる診療科が異なります。どこを受診すべきか迷う場合は、まず身近なかかりつけ医や内科に相談すれば、必要に応じて専門の診療科を紹介してもらえます。

むくみの特徴 目安となる診療科
両足全体のむくみ、息切れや動悸を伴う 内科・循環器内科
顔や全身のむくみ、尿の変化を伴う 内科・腎臓内科
片足だけの急な腫れや痛み、浮き出た血管がある 循環器内科・血管外科
疲れやすさ、寒がり、体重増加を伴う 内科・内分泌内科
妊娠中の急なむくみ、頭痛、血圧上昇がある 産婦人科

受診する際は、「いつから」「どこに(片足か両足か)」「どのような症状(息切れや尿の変化など)を伴うか」を整理しておくとスムーズです。日々の体重変化のメモや、症状が出ているときの足の写真をスマートフォン等で撮影して持参すると、医師への正確な情報伝達に役立ちます。

自宅でできるむくみのセルフケアと予防

生活習慣による一過性のむくみは、日々のケアで予防・緩和できます。ただし、心臓や腎臓などの持病がある方は、水分・塩分の管理や運動の可否が異なるため、必ず主治医の指示を優先してください。

  • 食生活の見直し(減塩とカリウム摂取): 塩分のとりすぎは水分を溜め込む原因になります。味付けを控えめにし、余分な塩分の排出を助けるカリウム(野菜や果物、豆類に豊富)をバランスよく摂りましょう。※腎臓病などでカリウム制限がある方は除きます。
  • ふくらはぎを動かす: ふくらはぎの筋肉は、血液を心臓へ戻すポンプの役割をしています。長時間のデスクワークや立ち仕事では、1時間に1回は足を動かす、足首を回す、かかとの上げ下げを行うなどして血流を促しましょう。ウォーキングなどの軽い運動も有効です。
  • 足を高くして休む: 就寝時や休憩時に、クッションなどを使って足を心臓より少し高くすると、下肢にたまった水分が戻りやすくなります。
  • マッサージと入浴: 入浴で体を温め、ふくらはぎを下から上へ優しくなでるようにマッサージするのも効果的です。※片足の急な腫れや痛み(血栓の疑い)がある場合は、強く揉まないでください。
  • 弾性ストッキングの活用: 足首から上に向かって適切な圧力をかけることで血流を助けます。ただし、サイズや圧が合わないと皮膚トラブルや血流悪化を招くため、糖尿病や動脈疾患のある方、片足が急に腫れた方は、使用前に医師に相談してください。
  • 適切な水分補給: むくみを恐れて水分を控えると、脱水や血流悪化(血栓リスクの上昇)につながります。水分制限の指示がない限り、水や麦茶をこまめに補給しましょう。

これらのセルフケアを続けても改善しない、または繰り返す・悪化する場合は、生活習慣以外に原因がある可能性があるため、医療機関を受診してください。

参考:農林水産省|1日に必要な食塩の量

参考:日本静脈学会|圧迫療法ガイドライン

よくある質問

Q. 夕方になると足がむくみますが、放置しても大丈夫ですか?

ひと晩休んで翌朝に軽くなるようなら、一時的なむくみの可能性が高いです。しかし、何日も続く、朝になっても残る、片足だけが腫れる、息切れなどの異常を伴う場合は、放置せず受診を検討してください。

Q. むくみで指で押すと跡が残ります。これは問題ですか?

すねなどを押してへこんだ跡が戻りにくい状態(圧痕性浮腫)は、体に水分が過剰にたまっている証拠です。一時的な場合もありますが、心臓や腎臓、肝臓などの病気が隠れていることもあるため、毎日続く場合は医療機関にご相談ください。

Q. 片足だけが急に腫れて痛いのですが、すぐ受診すべきですか?

はい、様子を見ず至急受診してください。深部静脈血栓症の疑いがあり、剥がれた血栓が肺に詰まると命に関わります。胸の痛みや強い息苦しさを伴う場合は、直ちに救急車を呼んでください。

Q. むくみは何科を受診すればよいですか?

息切れを伴う両足のむくみは内科・循環器内科、顔のむくみや尿の変化を伴う場合は内科・腎臓内科、片足の急な腫れや血管のしこりは循環器内科・血管外科が目安です。迷う場合は、まずお近くの内科を受診しましょう。

Q. むくみを自分で予防する方法はありますか?

減塩、こまめな足の運動、足を高くして休む、適切な水分補給などが有効です。ただし、心臓や腎臓の病気で治療中の方は、塩分・水分の制限が異なるため必ず主治医の指示に従ってください。

Q. むくみと一緒に体重が増えてきました。関係ありますか?

大いに関係があります。短期間(例:1週間で2〜3kg以上)で急激に体重が増える場合、脂肪ではなく体内に水分が溜まっている可能性が高く、心不全や腎臓病のサインのことがあります。早めに医療機関で検査を受けてください。

まとめ

むくみは生活習慣(塩分のとりすぎ、長時間の同じ姿勢など)によって一時的に起こることが多く、これらは減塩や足の運動、足を高くするなどのセルフケアで改善が期待できます。

しかし、むくみを長期間放置すると皮膚トラブルを招くほか、隠れた心臓・腎臓・肝臓・甲状腺などの病気を見過ごし、進行させてしまうリスクがあります。

特に「片足だけの急激な腫れ・痛み」「胸痛や強い息苦しさ」「短期間での急な体重増加」といった危険なサインがある場合は、深部静脈血栓症や心不全など緊急性の高い病気の可能性があるため、救急受診を含めて速やかに医療機関を受診してください。

自己判断で片付けず、体からのサインに耳を傾けることが大切です。

ベストチョイス編集部
ベストチョイス編集部

「best choice(ベストチョイス)クリニック byGMO」は、地域や診療内容に基づいた検索機能を使って、複数のおすすめ医院から最適のクリニックを比較して探せるポータルサイトです。各医院の診療時間、設備、スタッフなどの詳細情報が充実しているので、安心してクリニックを選ぶことができます。

この記事をシェアする
RELATED POSTS関連記事
記事一覧
Keywordsキーワードからコラムを探す
キーワード検索
人気キーワード
エリアから探す