左下腹部を押すと痛い!痛みの原因となり得る疾患とは
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左下腹部を押したときの痛みは、便秘やガスのたまりといった一時的な不調だけでなく、消化器・泌尿器・生殖器に関わる疾患が関係している可能性もあります。特に、炎症や臓器の腫れがある場合には、押すことで圧痛として痛みを感じるケースも少なくありません。
本記事では、左下腹部を押すと痛い場合に考えられる主な原因や疾患、医療機関を受診する目安について解説します。
左下腹部を押すと痛いケースで考えられる原因は?
左下腹部を押したときに痛みを感じる場合、その部位に炎症や腫れが生じている、あるいは臓器に負担がかかっている可能性が考えられます。特に、押すことで痛みが強まる「圧痛」は、体内で何らかの異常が起きているサインとして現れるケースも少なくありません。
ここでは、左下腹部を押すと痛い場合に想定される主な原因を、以下の3つに分けて紹介します。
- 消化器系の疾患
- 泌尿器系の疾患
- 婦人科系の疾患
消化器系の疾患
左下腹部には大腸の一部であるS状結腸が位置しており、便秘やガス貯留、憩室炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、大腸がん、S状結腸軸捻転、過敏性腸症候群などの消化器系疾患が痛みの原因となり得ます。
これらの疾患では、腹痛に加えて下痢・便秘、血便、発熱、腹部膨満感などの症状が見られることがあり、症状や経過によっては早期に消化器内科での精査が必要になることもあるでしょう。
泌尿器系の疾患
左下腹部の痛みは、腎臓から尿道にかけての尿路に関わる疾患によって生じる場合もあります。尿路結石や尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎など)では、痛みが下腹部や側腹部に広がることがあり、押したときの違和感として自覚されるケースもあるでしょう。
泌尿器系疾患では、排尿時の痛みや頻尿、残尿感、血尿といった排尿に関連する症状を伴うことが多い点が特徴です。発熱や腰背部の痛みを伴う場合には、腎盂腎炎などの可能性も考えられるため、早めの受診が望ましいとされる場面もあります。
婦人科系の疾患
左下腹部には子宮や卵巣などの骨盤内臓器が位置しており、婦人科系の疾患が痛みの原因となる場合もあります。子宮筋腫や子宮内膜症、子宮外妊娠、卵巣茎捻転などが代表的で、下腹部痛や圧迫感、不正出血といった症状を伴うケースも少なくありません。
妊娠の可能性や月経周期を含めて産婦人科での診察が推奨されるケースがあるため、注意しましょう。
左下腹部の痛みの原因になり得る疾患:消化器系
左下腹部の痛みの原因として、まず考えられるのが消化器系の疾患です。ここでは、左下腹部の痛みの原因となり得る主な消化器系の疾患について、解説します。
- 便秘
- 大腸憩室炎
- 炎症性腸疾患
- 感染性腸炎・虚血性腸炎
- 腸閉塞
- S状結腸軸捻転
- 大腸がん
- 過敏性腸症候群
それぞれについて、見ていきましょう。
便秘
便秘では大腸内に便やガスが滞留しやすく、S状結腸のある左下腹部に張るような痛みやチクチクした痛みが生じることがあります。
排便後に痛みが軽くなる、ガスが出て楽になるといった経過をたどることが多い傾向にありますが、長期に続く場合や血便などを伴う場合には他の疾患も考慮して検査が必要になるケースもあるでしょう。
大腸憩室炎
大腸憩室炎は大腸壁の一部が袋状に突出した憩室に炎症が起こる病気で、S状結腸で発症した場合は、左下腹部に強い痛みが出やすいとされています。
発熱や下痢、圧痛を伴うことがあり、炎症が高度になると穿孔や膿瘍形成などの合併症を起こすことも少なくありません。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患は、大腸や小腸に慢性的な原因不明の炎症を起こし、下痢や血便、腹痛を繰り返す疾患です。
長期にわたる下痢・血便や体重減少などを伴う場合には専門的な検査と治療が推奨されます。
感染性腸炎・虚血性腸炎
感染性腸炎や虚血性腸炎など急性の腸炎では、突然の腹痛や下痢、時に血便や発熱が見られ、炎症の部位がS状結腸といった左下腹部であれば左下腹部痛として感じられることもあります。
特に虚血性腸炎では、食後や排便後に左側腹部~下腹部の痛みと血便が出現する経過があり、多くは安静や点滴などで改善することが多いとされていますが、重症化する場合もあるため注意が必要です。
腸閉塞
腸閉塞は腸管の内容物の通過が何らかの原因で障害される状態を指し、腹部膨満、吐き気・嘔吐、便秘といった症状に加え、腹痛が出るケースもあります。
閉塞部位が左側腸管の場合、左下腹部の痛みや張り感として自覚されることもあるでしょう。
S状結腸軸捻転
S状結腸軸捻転はS状結腸がねじれることで腸閉塞を起こす疾患で、高齢者や慢性便秘の方などに多く、急激な腹部膨満と強い腹痛、排便・排ガス停止が特徴といえます。
ねじれが左下腹部付近で起こるため、その部位の強い痛みや圧痛が見られ、放置すると腸管壊死や腹膜炎に至ることもある緊急疾患です。
大腸がん
大腸がんは日本人に多いがんのひとつで、がんが左側大腸(下行結腸やS状結腸)に発生した場合、腸の狭窄による便秘や細い便、残便感、血便などに加えて左下腹部の違和感や痛みが出ることがあります。
初期には自覚症状が乏しいことも多いため、便通異常や出血が続く場合には、年齢や危険因子に応じて内視鏡検査などによる評価が行われることが推奨されるでしょう。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群は腸に明らかな異常がないにもかかわらず、腹痛や下痢・便秘などの便通異常が慢性的に続く機能性腸疾患であり、腹痛を伴うケースもあるとされています。
ストレスや自律神経の乱れが関与するとされ、排便によって一時的に痛みが軽くなる傾向がある一方、症状が長く続く場合は器質的な疾患との鑑別のためにも消化器内科での相談が望ましいでしょう。
左下腹部の痛みの原因になり得る疾患:泌尿器系
左下腹部の痛みは、腎臓から尿道にかけての尿路に関連する疾患によって生じる場合もあります。代表的な疾患としては、以下が挙げられるでしょう。
- 尿路結石
- 尿路感染症
- 前立腺炎・精巣上体炎
それぞれについて解説します。
尿路結石
尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路にできる結石が移動・閉塞することで、突然の激しい疝痛や血尿、吐き気などを引き起こす疾患です。
石が左側尿管の下部にある場合には、左下腹部や鼠径部周辺に痛みとして自覚されることがあります。
尿路感染症
尿路感染症は、腎臓・尿管・膀胱・尿道など尿路に細菌が侵入して炎症を起こす病気です。膀胱炎では排尿時痛や頻尿、下腹部の痛み・不快感が見られ、腎盂腎炎では高熱や腰背部痛を伴うことが多いとされています。
特に女性は尿道が短いため膀胱炎など尿路感染症が起こりやすいとされ、症状が続く場合や発熱を伴う場合には早めの受診が望ましいでしょう。
前立腺炎・精巣上体炎
前立腺炎や精巣上体炎は男性に見られる疾患です。会陰部や陰嚢、下腹部のうずくような痛み、不快感、排尿時痛や頻尿などが症状として挙げられるでしょう。
長時間の座位や自転車乗車などが慢性前立腺炎の誘因となることもあり、症状が持続する場合には泌尿器科での診察と、必要に応じた薬物療法などが行われます。
左下腹部の痛みの原因になり得る疾患:婦人科系
女性の場合、子宮や卵巣といった骨盤内臓器に関連する婦人科系の疾患によって左下腹部の痛みが出るケースもあり得ます。考えられる主な疾患としては、以下が挙げられるでしょう。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮外妊娠
- 卵巣茎捻転
- 女性特有のがん
それぞれについて、見ていきましょう。
子宮筋腫
子宮筋腫は子宮に発生する良性腫瘍で、筋腫の大きさや位置によっては、下腹部の重い痛みや圧迫感、月経痛の増強、過多月経などを生じるケースもあります。
また、月経量の増加や月経痛の悪化、貧血などを伴うこともあり、日常生活への影響として現れることも少なくありません。症状の程度や生活への支障の有無によって、経過観察や治療方針が検討される場面もあるでしょう。
子宮内膜症
子宮内膜症は、本来子宮内にあるべき内膜組織が卵巣や腹膜など子宮外に入り込み増殖する疾患で、月経痛の増悪、慢性的な骨盤痛、不妊などの原因になる可能性が否定できません。
女性ホルモンが関係する疾患であるため、閉経を迎えると症状が軽減する傾向があります。
子宮外妊娠
子宮外妊娠(異所性妊娠)は受精卵が子宮内膜ではない場所に着床する状態で、妊娠の進行に伴い腹痛や出血が生じるケースがあります。
卵管の血管が破裂すると急激な激痛や腹腔内出血によるショックを来す危険があるため、妊娠の可能性があり強い下腹部痛や出血が見られる場合には、早急な産婦人科受診が必要です。
女性特有のがん
子宮体がんや卵巣がんなどの婦人科領域のがんは、初期には自覚症状があまりない場合もあり、明確な異常として気付きにくい傾向があります。進行に伴って下腹部の違和感や痛み、不正出血、腹部膨満感などとして現れることがあり、左側に病変がある場合には左下腹部の症状として認識されるケースも少なくありません。
原因不明の下腹部痛が続く場合や、出血・体重減少など他の症状を伴う場合には、早めの婦人科受診が推奨されます。
医療機関を受診するべき症状の目安
左下腹部の痛みがあっても、短時間で軽快し、他に気になる症状が見られない場合には、一時的な不調として経過をみる選択も考えられます。痛みの強さや持続時間、日常生活への影響などを踏まえながら、自身の症状の変化を把握しておくことが重要です。
一方で、以下のような症状が見られる場合には、注意が必要な状態といえます。
- 突然の強い痛み(動けない、冷や汗を伴うなど)
- 38.5度以上の発熱
- 血便や不正出血
- 腹部が強く張り、排便・排ガスが止まっている
- 吐き気や嘔吐が続く
- 意識がぼんやりする、息苦しさや動悸がある
これらの症状は、緊急性が高い状態や重篤な疾患が背景にある可能性も考えられます。症状の程度や経過によっては、救急受診も含めた速やかな受診が推奨されるでしょう。
まとめ
左下腹部を押したときの痛みは、便秘やガスの滞留といった一時的な不調から、消化器・泌尿器・婦人科系の疾患まで、さまざまな原因が関係している可能性があります。痛みの出方や持続時間、他に見られる症状によって背景は異なり、一概に軽視できるものとは限りません。
特に、強い痛みや発熱、血便、不正出血などを伴う場合や、症状が長く続く場合には、注意が必要な状態として捉える視点が重要といえるでしょう。日常との違いに気付き、経過を把握しておくことが、適切な対応につながります。
なお、左下腹部の痛みは原因によって受診すべき診療科や対応が異なるため、自己判断が難しいケースも少なくありません。症状に不安がある場合には、医療機関の情報を比較しながら、自分に合った相談先を検討することもひとつの方法です。「ベストチョイス」では、症状や目的に応じて医療機関を探せる情報を掲載しているため、受診先に迷った際の参考として活用できるでしょう。






