むちうちのリハビリは何をする?いつから・頻度・期間の目安と注意点

むちうちのリハビリの内容を急性期・回復期に分けて解説

むちうちのリハビリは、骨折や脱臼がないことを確認したうえで、受傷からの時期に合わせて内容が変わります。前述のとおり、受傷直後は安静が中心で、その後は首を動かしていく時期に移ります。

始める時期や通院の頻度は、診察した医師が症状と経過を見て判断します。自己判断でストレッチを始めたり通院をやめたりする前に、まず担当医に相談してください。

この記事ではベストチョイス編集部が、学会や公的機関の情報をもとに、リハビリの内容、いつから・どのくらいの頻度で通うか、いつまで続けるか、リハビリ中に避けたいことを整理しました。経過には個人差があります。

この記事でわかること
  • むちうちのリハビリはいつから始めるか、急性期と回復期で何が変わるか
  • 運動療法と物理療法の位置づけと、自宅で運動するときの考え方
  • 通院頻度と「いつまで続けるか」を考えるときの目安
  • リハビリ中に避けたいことと、早めに相談したい症状
  • 整形外科でリハビリがない場合の相談のしかたと、接骨院との制度の違い
目次

むちうちのリハビリは急性期と回復期で内容が変わる

むちうちのリハビリは、受傷直後の急性期と、痛みが落ち着いてくる回復期以降で内容が変わります。急性期は診断と短期間の安静が中心で、その後は首を動かす運動へ移していく考え方が示されています。

「むちうち」は追突や衝突などで首が強く揺さぶられたときの局所症状の総称で、医学的な傷病名ではありません。日本整形外科学会は、外傷性頚部症候群や神経根症など医師の専門的診断を受けることが必要としています。

外傷性頚部症候群は、事故のあとに頚部痛、肩こり、頭痛、めまい、手のしびれなどが長期間にわたって出る状態です。エックス線検査では骨折や脱臼は認められないと説明されています。

受傷時には首を守るための筋緊張が反射的に生じ、衝撃の大きさによっては筋の部分断裂や靭帯の損傷が起きているとされています。損傷の程度は人によって異なり、症状の出方や続き方にも個人差があります。

比較する項目急性期回復期以降
時期の目安受傷直後から安静期間まで(骨折・脱臼がなければ2〜4週間が目安とされる)安静期間を終えたあと
主な目的診断の確定と痛みの緩和首を動かせる範囲の回復と生活への復帰
中心になる内容診察・画像検査、短期間の安静(痛みに応じた薬などの治療は医師が判断)ストレッチなどの運動療法、必要に応じた物理療法
安静の考え方できるだけ短い期間にとどめる安静を長引かせず、首を動かしていく(慢性期には安静や生活制限を行わないとされる)

どの段階にいるかは、経過した日数だけで決まるものではありません。診察所見や画像検査の結果を含めて医師が判断するため、自己判断で段階を進めないことが大切です。

参考:日本整形外科学会「むち打ち症」

参考:日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」

急性期と回復期のリハビリの目的と内容を比較した図

むちうちで起こりやすい症状や、交通事故で起こりうるほかの怪我については、次の記事で整理しています。

むちうちのリハビリはいつから?急性期は診断を受け、安静は短くする

むちうちのリハビリを始める時期は、診察で骨折や脱臼がないことを確認したうえで、医師が症状と経過を見て判断します。日本整形外科学会は、骨折や脱臼がなければ受傷後2〜4週間の安静のあとに頚椎を動かすことが、痛みの長期化の予防になるとしています。

同学会は、安静期間はできるだけ短い方がよいとも説明しています。受傷後1〜3か月ほどの間は局所に痛みが生じますが、この期間に局所を安静にする習慣がつくと、痛みが長引く原因になるとされています。

骨折や脱臼がないのに長期にわたって頚椎カラーを装着し続けることも、頚部痛が長期化する原因になると指摘されています。装具を使う期間は自己判断で延ばさず、医師の指示に沿って調整してください。

交通事故のあとにむちうちが疑われる場合は、神経学的所見を含む診察と、病状に応じたエックス線撮影やMRIによる精査ができるとされています。まず整形外科の診察を受けることがすすめられています。

痛みが強い時期に何をどこまで動かしてよいかは、診断と経過によって変わります。ストレッチや筋力トレーニングを自己判断で始める前に、医師に確認してください。

レントゲンで確認すること

むちうちが疑われるときのレントゲン(エックス線)検査は、骨折や脱臼がないかを確かめるために行われます。日本整形外科学会は、外傷性頚部症候群ではエックス線検査で骨折や脱臼は認められないとし、エックス線やMRIで見られる年齢相応の変化は外傷とは関係がないと説明しています。

画像に異常が写らないことは、症状がないことを意味するものではありません。痛みやしびれの変化は、画像の結果とは別に診察時に伝えてください。

参考:日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」

回復期のリハビリ|運動療法と物理療法の位置づけ

回復期のリハビリは、首を動かす運動療法が軸になります。日本整形外科学会は、骨折や脱臼がなければ受傷後2〜4週間の安静のあとは頚椎を動かすことが痛みの長期化の予防になるとし、慢性期には安静や生活制限は行わず、ストレッチを中心とした体操をしっかり行うことが最良の治療になるとしています。

医療機関で行う理学療法は、理学療法士が医師の指示の下で行うものです。法律では、主に基本的な動作の能力の回復を図るため、治療体操などの運動を行わせたり、電気刺激、マッサージ、温熱などの物理的手段を加えたりすることと定められています。

診療報酬上の運動器リハビリテーション料でも、種々の運動療法、実用歩行訓練、日常生活活動訓練、物理療法などを組み合わせ、個々の症例に応じて行った場合に算定するとされています。

比較する項目運動療法物理療法
主な目的動かせる範囲や筋機能の回復を目指す痛みや張りをやわらげる
内容の例ストレッチ、可動域の訓練、姿勢や動作の指導温熱、電気刺激、マッサージなどの物理的手段
回復期での位置づけ中心となる取り組み医師の判断で、運動療法と組み合わせて行われることがある

運動療法と物理療法をどう組み合わせるかは、担当する医師や理学療法士が経過を見ながら調整します。

実際に行う内容や、感じ方の変化には個人差があります。同じ診断名でも損傷の程度や仕事・生活の状況で組み立てが変わるため、他の人の経過をそのまま自分に当てはめないでください。

参考:e-Gov法令検索「理学療法士及び作業療法士法」

リハビリには週何回通う?頻度は症状と計画に沿って決まる

むちうちのリハビリに週何回通うかは、人によって異なります。厚生労働省の資料などでは、週あたりの回数を一律に定めた決まりは確認できませんでした。実際の頻度は、症状や回復の時期、目標に合わせて医師が判断し、リハビリの計画に沿って決まります。

「周りの人は週◯回通っている」という話を聞くこともありますが、損傷の程度や生活の状況が違えば、適した頻度も変わります。迷ったときは、他の人の回数ではなく、担当医に自分の場合の目安を確認してください。

頻度が人によって違う理由

頻度が一律にならないのは、時期によってリハビリの目的が変わるためです。前述のとおり、受傷直後は安静が中心で、その後は首を動かしていく時期に移ります。受傷直後と、首を動かしていく時期とでは、通院で行う内容そのものが異なります。

また、医療機関で行うリハビリと、自宅で続ける運動の組み合わせ方によっても通院の頻度は変わります。どちらにどの程度重点を置くかは、医師や理学療法士が経過を見ながら調整します。

1回のリハビリの時間と、1日に受けられる量

健康保険などの公的医療保険で受けるリハビリは、20分以上を「1単位」として数えます。1日に受けられる量にも上限があり、原則として1日6単位まで(一部の患者は9単位まで)とされています。

1回に何単位行うかも、症状や計画によって異なります。1回あたりの時間が気になる場合は、受付や担当の理学療法士に確認しておくと、仕事や家事の予定を立てやすくなります。

通院の頻度を決める前に確認しておきたいこと

医療機関でリハビリを行う際は、リハビリテーション実施計画書が作成され、患者や家族に内容を説明したうえで交付されます。いま何を目標にしているかは、この計画書で確認できます。

計画書の説明を受けるときや診察のときに、次の点を確認しておくと、自分に合った頻度を考えやすくなります。

  • いまの目標と、通院の頻度の目安
  • 1回のリハビリにかかる時間
  • 次の受診までに自宅で続ける運動の内容
  • 次に経過を評価する時期

仕事や家庭の都合で通えない日がある場合も、自己判断で間隔を空けたり通院をやめたりせず、まず担当医や理学療法士に相談してください。通院の間隔は、相談のうえで調整できる場合があります。

参考:日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」
参考:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」

リハビリはいつまで続ける?150日という標準的算定日数

運動器リハビリテーション料には標準的算定日数が定められており、発症、手術若しくは急性増悪又は最初に診断された日から150日を限度として算定するとされています。期間を考えるときの一つの目安になります。

ただし150日で一律に終わるわけではありません。厚生労働大臣が定める患者について、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合などには、150日を超えて算定できるとされています。なお、この日数は健康保険などの公的医療保険でリハビリを算定する際の決まりです。交通事故で自賠責保険などを使って受診する場合の扱いは、医療機関や保険会社に確認してください。

150日を超えて継続する場合は、継続することとなった日とその後1か月に1回以上、機能的自立度評価(FIM)の測定によってリハビリテーションの必要性を判断することとされています。

診療報酬上も、リハビリテーションは適切な計画の下に行われるものであり、その効果を定期的に評価し、それに基づき計画を見直しつつ実施されるものと位置づけられています。

終わりの時期に不安がある場合は、いまの目標、残っている症状、次に評価する時期を診察時に確認してみましょう。回復のしかたには個人差があり、日数だけで一律に区切られるものではありません。

参考:厚生労働省「診療報酬点数表 第7部 リハビリテーション」

むちうちのリハビリをいつまで続けるかの考え方

むちうちの治療全体にかかる期間の目安や、3か月・6か月を超えて症状が続く場合の考え方は、次の記事で解説しています。

医療機関のリハビリと接骨院・整骨院の施術は制度が異なる

医療機関で行うリハビリテーションと、接骨院・整骨院で受ける柔道整復師の施術は、根拠となる制度が別のものです。どちらが優れているかという話ではなく、医師の関与のしかたと健康保険の扱いが異なります。

理学療法は、医師の指示の下で理学療法士が行うものです。診察や画像検査、薬などの治療と一体で治療方針が組み立てられる点が、医療機関で受けるリハビリの特徴です。

柔道整復師の施術は、健康保険では療養費として扱われます。厚生労働省は、骨折、脱臼、打撲及び捻挫(いわゆる肉ばなれを含む)の施術を受けた場合に保険の対象になると示しています。

骨折及び脱臼については、緊急の場合を除き、あらかじめ医師の同意を得ることが必要とされています。単なる肩こりや筋肉疲労に対する施術は保険の対象にならず、全額自己負担になると案内されています。

比較する項目医療機関のリハビリテーション接骨院・整骨院の施術
主に行う人医師の指示を受けた理学療法士など柔道整復師
医師の関与診断と指示に基づいて実施される骨折・脱臼は緊急時を除き医師の同意が必要
健康保険の扱い健康保険を使う場合は保険診療として扱われる療養費として扱われる
保険の対象医師が必要と判断したリハビリテーション骨折・脱臼・打撲・捻挫(肉ばなれを含む)
画像検査・投薬同じ医療機関で行える医師による画像検査や薬の処方は受けられない

保険医療機関で同じ負傷等の治療中は、施術を受けても保険等の対象にならないとされています。両方に通うことを考えている場合は、事前に扱いを確認しておくと行き違いを防げます。

症状が続いている、しびれがある、痛む範囲が変わってきたという場合は、まず医師の診察で状態を確認することが土台になります。診断が変われば、必要な対応も変わるためです。

参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」

参考:全国健康保険協会「柔道整復師のかかり方」

整形外科でリハビリがない・してくれないときは

整形外科でリハビリが行われない理由には、医師が診察のうえで現時点では必要ないと判断している場合のほか、その医療機関が疾患別リハビリテーションを行う体制(施設基準の届出)を整えていない場合などが考えられます。

リハビリの処方がない場合でも、診察を続けて経過を伝えることが大切です。症状が続く、首を動かしにくい状態が残るといった場合は、そのことを具体的に伝え、リハビリの必要性を相談してください。

リハビリを行っている医療機関での受診を希望する場合は、紹介状(診療情報提供書)を作成してもらえるか相談する方法があります。検査結果や経過の情報が引き継がれると、同じ検査の繰り返しを避けられる場合があります。

接骨院・整骨院への切り替えを考える場合は、制度の違いに注意が必要です。保険医療機関で同じ負傷の治療を受けている間は、施術を受けても保険の対象にならないとされています。

参考:厚生労働省「柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて」

むちうちのリハビリ中に避けたいことと、早めに相談したい症状

リハビリ中に避けたいのは、安静を長く続けること、骨折や脱臼がないのにカラーを着け続けること、自己判断で運動の内容や通院の頻度を変えることです。長い安静やカラーの装着は、痛みを長引かせる原因になるとされています。また、自己判断で運動や通院の頻度を変えると、回復の経過を確かめにくくなります。

安静を長く続ける

日本整形外科学会は、受傷後しばらくの間に局所を安静にする習慣がつくと、痛みが長引く原因になるとしています。安静の期間は、医師の指示の範囲にとどめてください。

カラーを自己判断で長く着ける

骨折や脱臼がないのに長期にわたって頚椎カラーを装着すると、頚部痛や肩こりが長期化する原因になると説明されています。外す時期は医師に確認してください。

自己判断で運動を始める・増やす

同じ運動でも、時期や状態によって適しているかどうかが変わります。動画や書籍を見て運動を加えたいときは、診察時に確認してから始めてください。

自己判断で通院をやめる

通院を中断すると、経過の評価ができなくなります。都合が悪くなった場合も、いったん相談して次の受診時期を決めておくほうが、予定を調整しやすくなります。

早めに相談したい症状

手のしびれや力の入りにくさ、頭痛やめまいが強くなる場合は、次回の予約を待たずに受診先へ相談してください。

参考:日本整形外科学会「外傷性頚部症候群」

事故後の頭痛については、原因と受診の目安を次の記事で解説しています。

よくある質問

むちうちのリハビリはいつから始めますか?

開始時期は診断と経過によって決まります。骨折や脱臼がなければ、受傷後2〜4週間の安静のあとに頚椎を動かすことが痛みの長期化の予防になるとされ、安静期間はできるだけ短い方がよいと説明されています。実際に始める時期は、診察した医師が状態を見て判断します。

リハビリには週に何回くらい通うものですか?

週に何回通うかを一律に定めた公的な基準は、確認できませんでした。医療機関のリハビリは、1回20分以上を1単位とし、1日あたりの上限がある枠組みの中で、実施計画書に沿って行われます。頻度は症状と目標に応じて医師が判断します。

リハビリはいつまで続けられますか?

運動器リハビリテーション料では、発症や最初に診断された日から150日を限度として算定するとされています。ただし、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合などには150日を超えて算定できるとされており、日数だけで一律に区切られるものではありません。

接骨院・整骨院に通うだけでもよいですか?

制度上の位置づけが異なるため、まず医師の診察を受けて診断を確認することが基本です。柔道整復師の施術は療養費として扱われ、骨折・脱臼は緊急の場合を除き医師の同意が必要とされています。保険医療機関で同じ負傷等の治療中は、保険等の対象にならないとされています。

症状が長引くときはどうすればよいですか?

自己判断で通院をやめず、症状の変化を医師に伝えて計画を見直してもらうことが第一です。手のしびれや力の入りにくさなど新しい症状が出た場合は、早めに相談してください。回復の経過には個人差があり、同じ診断名でも進み方は一律ではありません。

まとめ

むちうちのリハビリは、急性期と回復期で内容が変わります。急性期は診断と短期間の安静が中心で、骨折や脱臼がなければ受傷後2〜4週間の安静のあとに頚椎を動かすことが、痛みの長期化の予防になるとされています。

安静の期間を終えたあとは首を動かす運動療法が軸になり、物理療法を組み合わせるかどうかは医師が判断します。通院の頻度と期間は、リハビリテーション実施計画書と定期的な効果判定に沿って決まります。

医療機関のリハビリと接骨院・整骨院の施術は制度上別のもので、医師の関与のしかたや健康保険の扱いが異なります。両方を検討する場合は、扱いを事前に確認しておくと安心です。

症状が続く場合や新しい症状が出た場合は、まず整形外科で診察を受け、いまの状態と次の目標を確認してください。本記事は一般的な情報を整理したもので、リハビリの内容や経過には個人差があります。

医療広告について
  • 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
  • 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。

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著者情報

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