夜になると熱が出て、朝には下がっている。この体温の動きに関わっているのが、一日の中で体温が変わる「日内変動」です。体温は早朝に最も低く、昼から夕方にかけて高くなるため、夕方に測ると朝より高めに出ます。
一方、風邪などの感染症で熱が出ているときも、熱は一日の中で上がったり下がったりします。朝に下がったからといって治ったとは限りません。受診するかどうかを決める材料は、熱以外の症状や熱の続き方です。
この記事でわかること
- 夜になると熱が出て、朝には下がる原因
- 考えられる病気と、受診の目安・何科に行くか
- 夜に熱が上がったときの過ごし方
夜になると熱が出る・体温が上がる原因
体温は一日の中で変わる(日内変動)
体温は一定ではなく、測る時間によって違う値になるのが普通です。早朝が最も低く、起きてから徐々に上がり、昼頃から夕方までは高い状態が続いて、夜になると下がり始めます。1日の変動幅は約1℃です(参考:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「熱っぽい(自律神経失調症)」)。
健康な人でも、わきの下で測ると約4分の1の人が37.0℃を超えるとされ、37.0℃以上でも病気とは限りません。平熱には個人差があるため、元気なときの朝と夕方の体温を知っておくと、熱が出たときに比べる基準になります。
病気のときも、朝に下がった熱が夜にまた上がる
感染症などで熱が出ているときも、熱は一日じゅう同じ高さではなく、朝に下がっていても夕方から夜にかけて再び上がる場合があります。
熱の上がり下がりのしかた(熱型)は、その熱が病気によるものかどうかを医師が判断するときの大事な手がかりです。気になる熱が続くときは、毎日最低2回(朝と夜など)測って記録しておくと診察で伝えやすくなります。
女性は月経周期や更年期でも体温が変わる
月経のある女性では、排卵から月経が始まるまでの時期に、月経から排卵までの時期より体温が約0.6℃高くなります。更年期には女性ホルモンが減って自律神経の働きが乱れ、ほてりや熱っぽさ、汗をかきやすいといった症状も、閉経前後によく見られる変化です。
熱っぽさが月経周期と重なる、ほてりや汗が気になる場合は、婦人科も受診先の候補です。
ストレスや疲れで熱っぽく感じることも
強いストレスや疲れが続くと、自律神経の働きが乱れ、熱っぽさを感じる人もいます。ただし、ストレスが原因と言えるのは、ほかの病気がないと確かめられてからです。先に内科を受診するのが近道です。
夜に熱が出るときに大人で考えられる病気
発熱の原因はさまざまで、風邪などの感染症のほか、症状や経過によっては膠原病や甲状腺の病気なども考えられます。一般に微熱で重い病気は少ないものの、熱の出方だけで原因を見分けるのは難しく、受診先を選ぶ決め手は、のどの痛みや関節の腫れといった熱以外の症状です。
次の表は受診先の目安で、病名を決めるものではありません。
| 熱以外の症状 | 考えられる例 | 主な受診先 |
|---|---|---|
| のどの痛み、せき、痰、息苦しさ | 風邪、扁桃炎、気管支炎・肺炎など | 内科、耳鼻咽喉科 |
| 耳や顔の痛み、歯ぐきの腫れ | 中耳炎、副鼻腔炎、歯の感染など | 耳鼻咽喉科、歯科 |
| 腹痛、下痢、排尿時の痛み | 胃腸炎、尿の通り道の感染症など | 内科 |
| 関節の痛みや腫れ、朝のこわばり | 関節リウマチなどの膠原病 | 内科、リウマチ科 |
| 動悸、暑がり、汗かき、体重減少 | バセドウ病などの甲状腺の病気 | 内科、内分泌内科 |
| ほてり、汗、月経周期と重なる | 月経周期による変化、更年期の症状 | 婦人科 |
風邪などの感染症
夜に熱が上がる原因として身近なのは、風邪などの感染症です。のどの痛みが強い、せきが長引く、息苦しいなど、熱以外の症状が強くなるときは、早めに受診してください。
結核も、せき、痰、発熱、息苦しさなど、風邪に似た症状で始まることが多い病気です(参考:厚生労働省「結核」)。せきや熱がなかなか治まらないときは、様子を見続けずに内科を受診してください。必要に応じて胸部エックス線検査などが行われます。
関節リウマチなどの膠原病
膠原病は、免疫の異常によって関節や皮膚、内臓などに炎症が起こる病気の総称です。代表的な関節リウマチでは、関節の痛みや腫れ、朝のこわばりが主な症状で、全身のだるさや微熱、食欲の低下を伴う例も見られます(参考:日本リウマチ学会「関節リウマチ」)。熱と一緒に関節の症状があるときの受診先は、内科かリウマチ科です。
甲状腺の病気
甲状腺ホルモンが多くなりすぎるバセドウ病では、動悸、体重減少、指のふるえ、暑がり、汗かきといった症状が特徴です(参考:日本内分泌学会「バセドウ病」)。体が熱っぽく、こうした症状も重なるときは、内科で血液検査を受けると、甲状腺ホルモンの値が分かります。
長く続く熱で考えたいこと
熱が何日続いたら受診すべきかは、年齢や持病、熱以外の症状によって変わるため、日数だけでは判断できません。だるさや食欲不振が続く、体重が減ってきたという場合は、慢性の炎症や悪性腫瘍などが隠れていないか、内科で調べてもらう必要があります。
受診の目安と何科に行くか
すぐに受診・相談したほうがよいサイン
熱の高さよりも、全身の状態を重視します。次のような様子があるときは、夜間でも医療機関を受診するか、救急の相談窓口を利用してください。
- 息苦しい、呼吸が速い
- 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
- けいれんを起こした
- 水分がとれない、尿がほとんど出ない
- ぐったりして動けない
受診するか迷うときは、救急安心センター(#7119)に電話すると、医師・看護師などから受診の必要性や医療機関についての助言を受けられます(参考:総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」)。実施していない地域もあるため、住んでいる地域の窓口を前もって調べておくと、いざというときに慌てずに済みます。
様子を見ながら受診を考えるとき
元気があり、水分や食事がとれていて、上のサインがないときは、日中の診療時間に受診するのも一つの選択です。次のようなときは、内科の受診をおすすめします。
- 熱が下がらない、または下がってもまた上がることを繰り返す
- 夕方から夜の微熱が長く続いている
- だるさ、食欲不振、体重減少を伴う
- 表にあるような、熱以外の症状が出てきた
かかりつけ医がいれば、電話で受診のタイミングを聞けます。
何科を受診するか
原因がはっきりしないときの入口は、内科です。総合診療科がある医療機関なら、そちらでもかまいません。のどや関節など、熱以外の症状がはっきりしている場合は、上の表の受診先も選べます。ストレスとの関係が気になる場合も、先に内科でほかの病気がないかを調べておくと、心療内科などに移るときに話が早く進みます。
受診のときに伝えること
受診のときに持っていくと伝え漏れを防げるのは、次のようなメモです。
- 熱が出始めた日と、朝・夜それぞれの体温の記録
- 熱以外の症状と、出始めた時期
- 飲んでいる薬やサプリメント(薬の影響で熱が出ることもあります)
- 最近の体調の変化(食欲、体重、睡眠)や、周りで同じ症状の人がいるか
夜に熱が上がったときの過ごし方
何より優先したいのは、体を休めることです。
- 水分をこまめにとる
- 寒気がある間は温かくし、熱が上がりきって暑く感じたら薄着にする
- 部屋の温度を調節し、汗をかいたら着替える
解熱剤は、熱によるつらさを和らげて体を楽にするために使うもので、病気そのものを治すわけではありません。熱が下がっても、原因は残っています(参考:厚生労働省「上手な医療のかかり方」小児救急の資料)。市販薬を使うときは用法・用量を守り、持病がある、ほかの薬を飲んでいる、妊娠中・授乳中といった場合は、医師や薬剤師に相談してから使ってください。
子どもが夜に熱を出したとき
子どもも、夕方から夜にかけて熱が上がる点は大人と同じです。熱の高さより、機嫌や食欲、水分がとれているかといった全身の様子を見ることが大事です。厚生労働省の資料では、次のような場合は時間外でも早めの受診をすすめています。
- 生後3か月未満の発熱(予防接種の後の発熱は除く)
- 脱水が疑われる(水分がとれない、尿が少ない)
- ぐったりしている
- 初めてけいれん(ひきつけ)を起こした
- 体温が41℃以上
冷却シートは窒息や誤飲の危険があるため、使うときは目を離さないようにします。夜間に子どもの症状で迷ったときは、子ども医療電話相談(#8000)を利用しましょう。相談できる時間帯は都道府県によって異なります(参考:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」)。
夜になると熱が出るときのよくある質問
まとめ
夜になると熱が出て朝には下がるのは、体温が朝に低く夕方に高くなる日内変動が一因です。37.0℃を超えても、それだけで病気とは限らない一方、感染症や膠原病、甲状腺の病気などが熱の原因になっている場合もあります。
熱が続く、繰り返す、だるさや体重減少を伴うときは、朝と夜の体温を記録して内科を受診しましょう。息苦しさや意識の変化があるときは、夜間でも受診するか、#7119などの相談窓口を利用してください。


