すねを押すとへこむのはなぜ?むくみ(圧痕性浮腫)の原因と受診の目安

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すねを指で押すとへこみ、しばらく元に戻らない状態は、「圧痕性浮腫(あっこんせいふしゅ)」と呼ばれるむくみのサインです。塩分の摂りすぎや長時間の同じ姿勢による一時的なものから、心臓・腎臓・肝臓などの病気、薬の影響まで原因は多岐にわたります。

この記事では、すねがへこむ仕組みや主な原因、注意すべき症状、受診の目安、自宅でできるセルフケアを解説します。へこみ方だけで原因を特定することはできません。症状が続く場合や強い違和感がある場合は、医療機関へ相談しましょう。

この記事でわかること
  • すねを押すとへこんで戻りにくい「圧痕性浮腫」の仕組み
  • むくみを引き起こす生活習慣と背景にある主な病気
  • 急いで受診すべき症状と相談先となる診療科
  • 自宅で取り組める減塩や運動などのセルフケア

すねを押すとへこむ「圧痕性浮腫」とは

すねの内側(骨のすぐ横の柔らかい部分)を指で5~10秒ほど押し、離したあともくぼみが残る状態を「圧痕性浮腫」といいます。

むくみ(浮腫)とは、毛細血管から染み出た水分が静脈やリンパ管で十分に回収されず、皮膚の下の組織に過剰にたまった状態です。すねの前面はすぐ下に硬い骨があるため、たまった水分が指の圧力で押し出されやすく、へこみとして確認しやすい特徴があります。

むくみは、押したあとにへこみが残る「圧痕性」と、へこみにくい「非圧痕性」に大別されます。

圧痕性浮腫と非圧痕性浮腫の違い

  • 圧痕性浮腫(あっこんせいふしゅ)
    皮膚の下にたまった水分が、指の圧力によって一時的に移動するためくぼみができます。長時間の立ち仕事・座り仕事による一時的なもののほか、心不全、腎臓病、肝硬変、低栄養、慢性静脈不全などでみられます。
  • 非圧痕性浮腫(ひあっこんせいふしゅ)
    組織に特有の成分(粘液など)がたまったり、皮膚や皮下組織が硬くなったりして、押してもへこみが目立たない状態です。甲状腺機能低下症などでみられます。

リンパ浮腫は初期にはへこむことがありますが、進行して組織が硬くなるとへこみにくくなる性質があります。

へこみの深さや戻る時間だけで原因を特定することはできません。医療機関では、左右差や現れた時期、全身の症状などを組み合わせて総合的に判断します。

すねのむくみを確認する方法

すねの内側、骨のすぐ横を親指でゆっくり5~10秒ほど押し、指を離したあとにくぼみが残るかを確認します。その際、以下の点もあわせて観察してください。

  • 左右の足でむくみ方に差があるか
  • 朝と夕方で変化があるか(休むと軽くなるか)
  • 痛み・赤み・熱っぽさはないか
  • 息切れや急激な体重増加、尿の変化はないか

自分で押す方法はあくまで簡易的な目安です。へこみ方だけで自己判断せず、経過や全身の変化に注意しましょう。

すねを押すとへこむ主な原因

むくみの原因は、大きく「生活習慣や環境による一時的なもの」と「病気や薬の影響によるもの」に分けられます。

塩分の摂りすぎや長時間の同じ姿勢(一時的なむくみ)

身近な原因として、塩分の摂りすぎや、デスクワーク・立ち仕事などで足を動かさない時間が続くことが挙げられます。

塩分(ナトリウム)を多く摂ると、体は水分を溜め込みやすくなります。また、長時間同じ姿勢でいると、重力によって血液や水分が下半身に滞ります。通常はふくらはぎの筋肉がポンプのように働いて血液を心臓へ戻しますが、動かさない状態が続くとこの働きが低下します。

主な要因として、塩分の多い食事、長時間の立ち仕事や座り仕事、運動不足、アルコールの飲みすぎ、月経前や妊娠に伴うホルモン変化があげられます。

これらは夕方に目立ち、横になって休むと軽くなる傾向がありますが、それだけで病気ではないと断定はできません。

心臓・腎臓・肝臓などの病気(全身性のむくみ)

両足にむくみが現れる場合は、全身の臓器の疾患が背景にある可能性があります。

  • 心不全心臓のポンプ機能が低下して血液が滞り、足の甲やすねにむくみが出ます。坂道での息切れ、横になると苦しい、短期間での体重増加などを伴うことがあります。
  • 腎臓病(腎不全・ネフローゼ症候群など)尿から余分な水分や塩分を排出できなくなったり、血液中のタンパク質(アルブミン)が減少して水分が血管の外へ漏れ出したりします。左右対称のへこみを認めることが多いのが特徴です。
  • 肝硬変など肝臓の機能低下によりアルブミンが減少したり、血流が滞ったりすることで、足のむくみやお腹の張り(腹水)が現れます。

参考:
国立循環器病研究センター|心不全

参考:
日本腎臓学会|腎臓がわるくなったときの症状

低栄養・甲状腺・静脈の病気・薬の影響

  • 低栄養:食事量の不足などで血液中のタンパク質が不足すると、むくみが生じることがあります。
  • 慢性静脈不全・下肢静脈瘤:足の静脈の弁がうまく働かなくなり、血液が下半身に滞る病気です。夕方に悪化しやすく、足の重さ、血管の浮き出し、皮膚の変色などを伴うことがあります。
  • 薬の副作用:一部の降圧薬、消炎鎮痛薬、糖尿病治療薬、ホルモン薬などの服用開始・変更後にむくみが出ることがあります。自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。

生活習慣によるむくみと病気によるむくみの目安

確認する点 生活習慣が関係する場合の傾向 受診を検討したい特徴
経過 長時間の立位・座位後に現れ、休息で軽くなる 休んでも改善しない、繰り返す、徐々に悪化する
左右差 両足に同程度に現れることが多い 片足だけ急に腫れた、左右差が大きい
伴う症状 足の重さやだるさが中心 息切れ、胸痛、尿量低下、発熱、強い痛みなど
体重 大きな変化がない 短期間(数日~1週間)で明らかに増加した

この表は診断用ではありません。見た目だけで区別できないことも多いため、症状が続く場合は医療機関を受診してください。

片足だけ・急に悪化するむくみに注意

むくみが「片足だけ」か「急激に現れたか」は、緊急性を見極める重要なサインです。特に以下の症状がある場合は、血管や皮膚の重大な病気の可能性があるため注意が必要です。

片足だけ急にむくむ|深部静脈血栓症の疑い

足の深い部分にある静脈に血栓(血のかたまり)ができる病気です。血栓が肺へ移動し、肺の血管を詰まらせる「肺塞栓症」を引き起こすと命に関わることがあります。

  • 特徴片足だけが急に腫れる、ふくらはぎや太ももの激しい痛み、赤みや紫色の変色、熱感。
  • 対応足を強くもんだり、無理に動かしたりせず、速やかに医療機関を受診してください。

赤み・熱・強い痛みを伴う|蜂窩織炎の疑い

皮膚の傷や水虫による亀裂などから細菌が入り込み、皮下組織で炎症を起こす病気です。

  • 特徴局所の強い赤み、腫れ、ズキズキする痛み、熱感、発熱や寒気。
  • 対応早めに皮膚科や内科を受診してください。急速に悪化する場合は、夜間や休日でも救急外来の受診を検討してください。

救急要請(119番)を検討すべき緊急症状

むくみに加えて以下の症状が突然現れた場合は、危険な状態の可能性があります。

  • 突然の激しい息切れ・呼吸困難
  • 胸の痛みや圧迫感(息を吸うと痛むなど)
  • 唇、舌、のどの急激な腫れ、声のかすれ
  • めまい、冷や汗、意識が遠のく

すねのむくみは何科を受診すればよいか

原因が多岐にわたるため、まずは内科を受診するのが基本です。全身の診察や検査を行ったうえで、必要に応じて専門科へ紹介されます。

症状ごとの受診先の目安

主な症状 受診先の目安
原因不明、両足のむくみが続く 内科
息切れ、動悸、横になると苦しい 循環器内科
尿量減少、尿の泡立ち、顔・まぶたのむくみ 腎臓内科
片足だけの急なむくみ、血管の凸凹・浮き出し 血管外科・循環器内科
赤み、強い痛み、熱感、皮膚の傷 皮膚科
だるさ、寒がり、便秘、体重増加 内科・内分泌内科

医療機関で行われる主な検査

問診や診察でむくみの範囲や呼吸音などを確認し、必要に応じて以下の検査を行います。

  • 血液・尿検査腎機能、肝機能、甲状腺機能、アルブミン値、炎症反応、尿タンパクなどを確認します。
  • 画像・生理検査胸部エックス線、心電図、心臓や下肢血管の超音波(エコー)検査などを行います。

受診前にメモしておくとよいこと

  • 症状が始まった時期と時間帯(朝と夕方の変化、休息による改善の有無)
  • 左右差、痛み・赤み・熱感の有無
  • 息切れ、体重変化、尿量の変化
  • 服用中の薬やサプリメント、持病・手術歴
  • むくみが強いときの足の写真や毎日の体重記録

自宅でできるセルフケアと予防

一時的なむくみであれば、以下のケアで軽減や予防が期待できます。ただし、病気によるむくみを根本的に治療するものではありません。

  1. 塩分の摂取を控える汁物や麺類のスープは残し、加工食品を控えましょう。出汁や酢、柑橘類などの酸味を活用すると、塩分を減らしやすくなります。食事制限について医師から指示を受けている場合は、その内容に従ってください。
  2. 長時間同じ姿勢を避けるデスクワークや立ち仕事では、こまめに立ち上がって少し歩きましょう。つま先やかかとの上げ下げ、足首回しも取り入れられます。
  3. 足を少し高くして休む横になるときは、クッションなどを足の下に敷き、無理のない範囲で心臓より少し高い位置にします。
  4. 適度な運動を心がけるウォーキングや軽いストレッチなどで、ふくらはぎの筋肉を動かす習慣をつけましょう。
  5. 着圧ソックスを適切に使用する一般用の着圧ソックスは静脈還流を助けることがありますが、動脈の血流低下や皮膚の感染症がある場合は使用できないことがあります。むくみの原因が不明な場合は、使用前に医師へ相談してください。
  6. 水分制限を自己判断で行わないむくみがあるからと極端に水分を控えると、脱水を起こす危険があります。適切な水分補給を心がけ、アルコールの飲みすぎは控えましょう。

むくみが改善しない、繰り返す、日ごとに悪化する、片足だけ急に腫れた、痛みや赤みがある、息切れや急激な体重増加、尿量減少を伴う場合は、セルフケアで様子を見ずに医療機関を受診してください。

むくみを繰り返さないための習慣と記録のコツ

日々の状態を無理のない範囲で記録しておくと、変化に気づきやすくなり、受診時の説明もスムーズになります。

  • 体重を毎日測る毎日同じ時間帯(起床後など)に、できるだけ同じ服装で測定します。数日で数キロ増えるような急激な変化は、体内に水分がたまっている可能性を示すサインです。
  • 写真を残すむくみが強い時間帯に左右の足を同じ角度から撮影しておくと、受診時に状態を伝えやすくなります。
  • 体調の変化をメモするむくむ時間帯、尿量、息切れの有無などを簡単に書き留めておきましょう。

よくある質問

Q. すねを押すとへこんで戻らないのは病気のサインですか?

「圧痕性浮腫」というむくみの状態です。塩分の摂りすぎや長時間の同じ姿勢など一時的な原因もありますが、心臓・腎臓・肝臓などの病気や薬の影響が背景にあることもあります。へこみ方だけで判断せず、症状が続く場合は医療機関への相談を検討してください。

Q. むくみが続くときは受診したほうがよいですか?

セルフケアをしても改善しない、繰り返す、徐々に悪化する場合は受診をおすすめします。特に息切れ、尿量減少、まぶたのむくみ、急激な体重増加を伴う場合は、早めに内科へ相談してください。

Q. 片足だけ急にむくんで痛むときはどうすればよいですか?

深部静脈血栓症や蜂窩織炎など、早急な治療が必要な病気の可能性があります。足を強くもまず、できるだけ早く医療機関を受診してください。突然の激しい息切れや胸の痛みを伴う場合は、119番通報も検討してください。

Q. すねのむくみは何科を受診すればよいですか?

まずは全身を幅広く診られる内科が適しています。息切れがあれば循環器内科、尿の異常や顔のむくみがあれば腎臓内科、片足だけの急な腫れは血管外科や循環器内科、皮膚の赤みや痛みは皮膚科が目安です。

Q. むくみを和らげるセルフケアにはどのような方法がありますか?

減塩、こまめに足を動かすこと、足を少し高くして休むこと、ウォーキングなどの適度な運動が役立ちます。ただし、水分制限や着圧ソックスの使用を自己判断で行わず、持病がある場合は医師の指示に従ってください。

まとめ

すねを押すとへこんで戻らない「圧痕性浮腫」は、一時的な生活習慣の影響から心臓・腎臓・肝臓などの病気まで、さまざまな原因で起こります。

へこみ方だけで原因を判断することはできません。片足だけの急な腫れや痛み、息切れ、尿の異常、急激な体重増加がある場合は、早めの受診が必要です。

日常生活では減塩や適度な運動、長時間同じ姿勢を避けることなどを意識し、症状が改善しない、または繰り返す場合は、まず内科へ相談して原因を確認しましょう。

本記事は、圧痕性浮腫(むくみ)に関する一般的な情報をまとめたものです。

すねを押すとへこむむくみの背景には、心不全、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症、慢性静脈不全、深部静脈血栓症など、治療が必要な病気が隠れていることがあります。症状が続く場合や、片足だけの急な腫れ、強い痛み、息苦しさなどを伴う場合は、自己判断せず速やかに医療機関へ相談してください。

参考:
日本循環器学会

ベストチョイス編集部
ベストチョイス編集部

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