帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、子どものころにかかった水ぼうそうのウイルスが体の神経に潜み、加齢や疲れなどで免疫が下がったときに再び活動して起こる病気です。体の片側にピリピリ・チクチクとした痛みが先に出て、その後に赤い発疹と水ぶくれが帯状に並ぶのが特徴です。
多くの場合は皮膚科や内科で対応され、抗ウイルス薬は医師の診断のうえで処方されます。とくに、痛みや発疹が出てから早い時期に受診することが大切で、放置すると帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼ばれる痛みが残ることがあります。
本記事では、帯状疱疹とは何か、症状・原因・受診の目安・何科を選ぶかを中立に整理しました。症状の程度や経過には個人差があります。
- 帯状疱疹とは何か・水ぼうそうとの関係
- 片側の痛み・水疱など特徴的な症状と前ぶれ
- 加齢・疲労・免疫低下など発症のきっかけ
- 早期受診の大切さ・何科を受診するか・予防
帯状疱疹とは?水ぼうそうのウイルスが再び活動する病気
帯状疱疹とは、水ぼうそう(水痘)を起こす「水痘・帯状疱疹ウイルス」が、症状が治まったあとも神経の根元に潜み続け、免疫が下がったときに再び活動して起こる病気です。新しく外部から感染して発症するのではなく、過去に体の中に入ったウイルスが再活性化するのが特徴です。
子どものころに水ぼうそうにかかると、症状が治っても体からウイルスが完全に消えるわけではなく、背骨の近くにある神経節と呼ばれる場所に長くひそんでいると考えられています。
普段は体の免疫がウイルスの活動を抑えていますが、加齢や疲れ、病気などで免疫の働きが弱まると、ウイルスが再び動き出して神経に沿って皮膚まで広がり、痛みや発疹を引き起こします。
ウイルスが特定の神経に沿って皮膚へ出てくるため、症状は体の左右どちらか片側に、帯のような形で現れることが多いのが帯状疱疹の大きな特徴です。日本では80歳までに約3人に1人が経験するといわれるほど身近な病気とされています。
なお、水ぼうそうにかかったことがない人に、帯状疱疹の水疱から水ぼうそうとしてうつることはありますが、帯状疱疹そのものが人から人へ「帯状疱疹として」うつるわけではないとされています。
帯状疱疹の症状|片側の痛み・水疱と前ぶれのサイン
帯状疱疹の症状は、皮膚の変化より先に「ピリピリ」「チクチク」「ズキズキ」といった片側の痛みや違和感が前ぶれとして出ることが多いとされています。その後、同じ場所に赤い発疹が現れ、やがて中央がくぼんだ水ぶくれ(水疱)が帯のように並ぶのが典型的な流れです。

あらわれ方には幅がありますが、一般的な経過の目安を整理すると次のようになります。段階の進み方や日数には個人差があります。
| 段階 | 主な症状の傾向 | 時期の目安 |
|---|---|---|
| 前駆期(前ぶれ) | 片側のピリピリ・チクチクした痛み、かゆみ、違和感。発疹はまだない | 発疹が出る数日前ごろ |
| 発疹・水疱期 | 赤い発疹が帯状に出て、水ぶくれになる。痛みが強まることがある | 発症から約1週間前後 |
| かさぶた・回復期 | 水疱が破れてかさぶたになり、少しずつ乾いていく | 数週間かけて |
症状が出る場所は、胸から背中にかけて、腹部、顔(額や目のまわり)、腕や足などさまざまです。とくに、顔や目のまわり、耳の周囲に症状が出た場合は、目や耳の重大な合併症につながることがあるため注意が必要であり、早急な受診がすすめられます。
前ぶれの痛みだけの段階では、筋肉痛や神経痛、内臓の不調などと間違えられることもあり、発疹が出て初めて帯状疱疹とわかるケースも少なくありません。痛みだけで自己判断するのは難しいため、片側に帯状の発疹が出てきたら放置せず、医療機関で確認することが大切です。
帯状疱疹の原因・きっかけ|加齢・疲労・免疫の低下
帯状疱疹が起こる直接の原因は、体内にひそんでいた水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化ですが、その引き金になるのは「免疫の働きの低下」とされています。加齢や疲れ、ストレス、睡眠不足、他の病気などで免疫が弱まると、ウイルスの活動を抑えきれずに発症しやすくなると考えられています。
免疫が低下しやすいきっかけとして、次のようなものが挙げられます。複数が重なったときに起こりやすい背景要因として捉えるとよいでしょう。
| きっかけの分類 | 主な例 | 免疫との関わり |
|---|---|---|
| 加齢 | 年齢とともにウイルスへの免疫が下がる | 50代以降で発症が増えるとされる |
| 疲労・生活の乱れ | 過労、睡眠不足、強いストレス | 一時的に免疫の働きが乱れやすい |
| 体の状態・治療 | 持病、体調不良、免疫に関わる治療中など | 免疫が下がりやすい状態のことがある |
とくに年齢を重ねると、水ぼうそうのウイルスに対する免疫が自然に弱まっていくため、50代以降で帯状疱疹を発症する人が増える傾向があるとされています。また、若い世代でも、仕事や生活が立て込んで睡眠を削る日が続いたり、強いストレスがかかったりした時期に発症することがあります。
こうした背景があるため、「最近とても疲れている」「体調を崩している」といった状況で片側に痛みや発疹が出た場合は、帯状疱疹の可能性も念頭に置いて早めに受診を検討しましょう。
帯状疱疹の治療と早期受診の大切さ
帯状疱疹の治療は、ウイルスの活動を抑える抗ウイルス薬を中心に、痛みをやわらげる薬などを組み合わせて行われるのが一般的とされています。これらの薬は医師が診察のうえで必要性を判断して処方するもので、市販薬や自己判断での対応で済ませられるものではありません。
とくに、発疹が出てから早い段階での受診が大切とされています。
抗ウイルス薬は、ウイルスが活発に増えている早い時期に使い始めるほど効果が期待できるとされ、一般には発疹が出てから数日以内の開始が目安として挙げられます。治療が遅れると、症状が長引いたり、後述する帯状疱疹後神経痛(PHN)などの合併症が残りやすくなったりすることが指摘されています。
だからこそ、「たいしたことないだろう」と放置せず、早めに受診することが重要です。
なお、抗ウイルス薬をはじめとする治療薬は医療用医薬品であり、用いる薬の種類・量・期間や、痛みへの対応は、症状の程度や体の状態、他に使っている薬などをふまえて医師が判断します。
自己判断で市販薬や手持ちの薬だけに頼らず、また個人輸入などで薬を安易に入手しようとせず、必ず医療機関を受診して医師・薬剤師に相談してください。
帯状疱疹後神経痛(PHN)などの合併症に注意
帯状疱疹で気をつけたいのが、皮膚の症状が治まったあとも痛みが続く「帯状疱疹後神経痛(PHN)」という合併症です。そのほか、症状の出た部位によっては、目や耳、まれに神経に関わる合併症が起こることもあるとされ、早めの受診と適切な対応が大切とされています。
代表的な合併症として挙げられるものを整理すると、次のとおりです。いずれも必ず起こるわけではなく、部位や体の状態によって異なります。
| 合併症 | 主な特徴の傾向 | 起こりやすい状況 |
|---|---|---|
| 帯状疱疹後神経痛(PHN) | 皮膚が治ったあとも痛みが続く | 高齢、症状が重かった場合に多いとされる |
| 目の合併症 | 目の痛み・充血・見え方の異常など | 額や目のまわりに症状が出たとき |
| 耳・顔の合併症 | 耳の痛み、めまい、顔の動かしにくさなど | 耳の周囲に症状が出たとき |
帯状疱疹後神経痛は、とくに年齢が高い方や、初めの症状が重かった方に残りやすいとされています。痛みの感じ方は、ピリピリ・ズキズキ・焼けるようなど人によってさまざまで、日常生活に強い影響を与えることもあります。こうした合併症を防ぐためにも、発疹の早期段階で受診して治療を始めることが大切です。
また、顔や目・耳の周囲に症状が出た場合は、皮膚科だけでなく眼科や耳鼻咽喉科での専門的な確認が必要になることもあります。
帯状疱疹は何科?受診の目安と受診先の選び方
帯状疱疹が疑われるときは、まず皮膚科を受診先の目安にするとよいとされています。皮膚の症状を専門に診るため、発疹や水疱の状態から総合的に判断してもらいやすいためです。近くに皮膚科がない場合や全身の不調を伴う場合は内科でも相談でき、症状が出た部位によっては眼科・耳鼻咽喉科が選択肢になります。

次のようなサインがあるときは、早めの受診がすすめられます。とくに片側の帯状の発疹や強い痛みがあるときは、放置せず相談することが大切です。
- 体の片側に、帯のように並ぶ赤い発疹や水ぶくれが出てきた
- 発疹の前後にピリピリ・ズキズキした片側の痛みがある
- 顔・額・目のまわり・耳の周囲に症状が出ている
- 痛みが強い、発熱やだるさなど全身の不調を伴う
- 発疹が出てから日が浅い(早めの受診がすすめられる時期)
- 持病がある、免疫に関わる治療中など体調に不安がある
診療科ごとの一般的な対応の傾向は次のとおりです。迷うときは皮膚科または内科を起点に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう流れが無難とされています。
| 受診先 | 主な対応の傾向 | こんなときの目安 |
|---|---|---|
| 皮膚科 | 発疹・水疱など皮膚症状の診断と治療 | 片側に帯状の発疹・水ぶくれが出た |
| 内科 | 全身状態の評価、発熱やだるさへの対応、紹介 | 近くに皮膚科がない、全身の不調がある |
| 眼科 | 目やその周囲の症状・合併症の確認 | 額や目のまわりに症状・目の異常がある |
| 耳鼻咽喉科 | 耳の周囲の症状・めまいなどの確認 | 耳の痛みやめまい、顔の動かしにくさがある |
受診の際は、いつから痛みや発疹が出たか、症状の場所と広がり方、痛みの程度、発熱やだるさなど全身の症状、最近の疲れや体調、持病や使っている薬を伝えると診断に役立ちます。帯状疱疹は早い時期の対応が大切とされる病気のため、「様子を見よう」と迷ったときこそ早めに相談しましょう。
なお、対応できる範囲は医院によって異なるため、受診前に電話や公式サイトで確認しておくとスムーズです。
帯状疱疹の予防とワクチン・日常のケア
帯状疱疹は免疫の低下が引き金になるため、日ごろから体調を整えて免疫の働きを保つことが予防の土台になります。あわせて、発症予防を目的としたワクチンもあり、対象や受け方については医師に相談して判断することがすすめられます。
日常でできる工夫としては、次のようなものが挙げられます。
- 十分な睡眠をとり、疲れやストレスをためこまない
- 栄養バランスのとれた食事と適度な運動を心がける
- 体調を崩したときは無理をせず休養をとる
- 気になる症状が出たら早めに医療機関で相談する
帯状疱疹の予防を目的としたワクチン(生ワクチン・不活化ワクチン)については、対象年齢、接種回数、費用などが異なり、体の状態によって適した種類も変わります。
「自分は受けたほうがよいか」「今の体調で受けられるか」といった判断は、持病や服用薬なども関わるため、自己判断せずかかりつけ医などに相談して決定しましょう。
よくある質問
まとめ
帯状疱疹とは、過去の水ぼうそうのウイルスが体の神経に潜み、加齢や疲れなどで免疫が下がったときに再び活動して起こる病気です。体の片側にピリピリした痛みが先に出て、その後に帯状の発疹と水ぶくれが並ぶのが特徴です。
治療は抗ウイルス薬などを用いますが、これらは医師が診察のうえで判断・処方するものであり、自己判断や市販薬だけで済ませるものではありません。とくに、発疹が出てから早い時期の受診が大切で、放置すると帯状疱疹後神経痛(PHN)などの合併症が残ることがあります。
片側の帯状の発疹や強い痛み、顔・目・耳のまわりの症状があるときは、皮膚科や内科を目安に早めに相談してください。予防やワクチンについても、持病などを考慮して医師と相談して進めましょう。
参考資料
- 国立感染症研究所「帯状疱疹ワクチンファクトシート 第2版(PDF)」令和6(2024)年6月20日改訂(令和6年11月1日一部修正)/厚生労働省サイト掲載
- 厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」
- 公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A(ヘルペスと帯状疱疹)」
- 東京都保健医療局「帯状疱疹ワクチンについて」
- 本記事の医療情報は一般的な情報提供を目的としており、医師による診断や治療に代わるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関へのご相談をおすすめします。
- 医療・健康に関する情報は変更される場合があります。実際の受診・治療については医療機関へご確認ください。


