痛くない痔ってあるの?種類や痛い痔との違い・症状について解説
- 更新日
- 投稿日
痛みを伴わない痔の代表例として知られているのが、内痔核です。発生する部位や種類によっては、出血や違和感のみで痛みをあまり感じないケースもあるとされていますが、痛みがないからといって軽視できるとは限りません。症状が進行すると脱出や不快感が強まることがあり、日常生活に影響を及ぼす可能性も考えられるでしょう。
本記事では、痛くない痔の代表例や種類ごとの特徴、症状などについて解説します。
痛くない痔はある?知っておきたい痔の種類とそれぞれの症状
痛みをほぼ伴わない、あるいは自覚しにくい痔は存在し、その代表例が内痔核とされています。痔は一括りにされがちですが、発生する部位や原因によって種類が分かれており症状の出方が異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切といえるでしょう。
ここでは、以下の主な痔の種類と症状の違いを解説します。
- 痔核(いぼ痔)
- 裂肛(切れ痔)
- 痔ろう(あな痔)
痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)は、直腸肛門部の静脈がうっ血し、いぼ状に腫れた状態を指す痔の一種です。発生部位により内痔核と外痔核に分けられ、それぞれで主な症状や感じやすい自覚症状(出血・痛み・脱出など)が異なるとされています。
内痔核
内痔核は肛門の歯状線より内側(直腸側)に生じる痔核であり、主に排便時の鮮血や脱出(いぼが出てくる感覚)として自覚されることが多いのが特徴です。
この部位は痛みを感じにくい神経支配であるため、進行しても痛みが少ないか、ほとんど痛みを伴わずに出血のみが目立つケースがあるとされています。
外痔核
外痔核は歯状線より外側、肛門の皮膚側にできる痔核であり、血豆のように腫れる、また硬い「しこり」として触れることが多いとされる痔です。
この部分には痛みを感じる神経が多いため、腫れや血栓ができた場合には強い痛みや違和感、かゆみなどを伴いやすい点が内痔核と異なる部分といえます。
裂肛(切れ痔)
裂肛(切れ痔)は、硬い便や強いいきみなどをきっかけに肛門の皮膚・上皮が裂けた状態の痔です。排便時に鋭い痛みを感じることが多く、少量の出血を伴うケースもみられます。
慢性化すると傷が治りにくくなり、肛門が狭くなることでさらに排便時の痛みが強まることがあるため、注意が必要といえるでしょう。
痔ろう(あな痔)
痔ろう(あな痔)は、肛門腺からの感染による肛門周囲膿瘍が進行し、肛門内と皮膚の間にトンネル状の管(ろう管)が形成された状態の痔です。肛門周囲の腫れや痛み、膿の排出などが症状として現れ、一般に自然に治癒することは少ないとされています。
症状が続く場合には医療機関での対応が必要になることが一般的であり、早めの受診が検討される場面もあるでしょう。
痛い痔と痛くない痔の違いとは?
痔の痛みの有無は、主に発生する部位の違いや神経の分布によって左右されるとされています。同じ「いぼ痔」であっても、内側にできるか外側にできるかで感じ方が異なる点が特徴です。
また、炎症や血栓の有無、組織への刺激の強さなども、痛みの出方に関係する要素といわれています。
- 「内痔核」は痛みがない・少ないケースがある
- 痛い痔は「外痔核」や「裂肛」「痔ろう」が多い
それぞれの視点から、解説します。
「内痔核」は痛みがない・少ないケースがある
内痔核が生じる直腸側の粘膜は、自律神経が主体で痛覚を感じにくい領域とされています。そのため、排便時に出血があっても痛みを自覚しにくく、症状としては鮮血の付着や便器内の出血で初めて気付くケースが少なくありません。
また、初期段階では違和感が乏しく、日常生活に大きな支障を感じないこともあるため、受診のタイミングが遅れやすい傾向がみられます。脱出が起きるようになると異物感や不快感が強まることがありますが、それでも痛みが目立たないケースもあり、「痛みがないから大丈夫」と自己判断し受診が遅れるケースも考えられるでしょう。
痛い痔は「外痔核」や「裂肛」「痔ろう」が多い
外痔核や裂肛、痔ろうは比較的痛みを伴いやすい痔として知られています。外痔核は皮膚側に発生するため痛覚神経の影響を受けやすく、特に血栓が形成された場合には急激な腫れと強い痛みが生じることもあるでしょう。
裂肛では排便時に鋭い痛みを感じることが多く、排便後もしばらく痛みが続く傾向です。さらに、痛みを避けるために排便を我慢することで便秘が悪化し、症状が長引く要因になるケースも考えられます。
また、痔ろうは感染に伴う炎症が関係するため、腫れや熱感、持続的な痛みが生じやすいとされる病態です。膿が排出される場合もあり、日常生活に影響を及ぼすことがあるため、早期の対応が求められる場面もあるでしょう。
このように、痔の痛みの有無は単純な違いではなく、発生部位や病態の違いによって説明されるものであり、「痛くないから軽い」とは一概にはいえない点に注意が必要です。
痛くない痔を放置するとどうなる?
痛みがない痔であっても、経過とともに症状が変化する可能性が否定できません。特に内痔核は初期段階では出血のみで自覚しにくいことが多いものの、進行すると脱出や不快感が強まり、生活への影響が大きくなる場合があるとされています。
痛くない痔(内痔核)の4段階の進行度
内痔核は、症状の進み具合に応じて1度から4度までの4段階に分類され、主に「脱出の程度」で評価されるとされています。進行に伴い、出血だけの段階から、排便時に脱出する、指で戻す必要がある、常に脱出しているといった状態へと変化していくのが特徴です。
内痔核の進行段階について、表にまとめました。
| 進行度 | 主な状態 | 戻り方 | 主な症状 |
|---|---|---|---|
| 1度 | 痔核は肛門内に留まる | – | 排便時の出血が中心。痛みは感じないことが多い |
| 2度 | 排便時に一時的に脱出する | 自然に戻る | 出血に加え、違和感や残便感がみられることがある |
| 3度 | 排便時や腹圧で脱出する | 指で押すと戻る | 脱出が頻繁になり、不快感が強まる。痛みを伴う場合もある |
| 4度 | 常に脱出した状態 | 戻らない | 出血や粘液により下着が汚れることがある。強い痛みを伴うこともある |
以下で、内痔核の進行について、詳しく見ていきましょう。
1度
1度は、痔核が肛門内にとどまっている段階で、外から確認できる脱出はありません。主な症状は排便時の出血であり、便に血が付着する、あるいは便器に落ちた血で気付くケースが多いとされています。
この段階では痛みをほとんど感じないことが一般的で、軽い違和感や出血によって痔である可能性に気付くケースがほとんどです。症状が軽いため放置されやすく、排便習慣や生活環境が変わらない場合には徐々に進行する可能性があるといえるでしょう。
2度
2度になると、排便時のいきみによって痔核が肛門の外へ脱出するようになります。ただし、この段階では排便後に自然に元の位置へ戻るのが特徴です。
この段階になると出血や残便感、1度のときよりも強い違和感を覚えることがあり、症状の自覚が徐々に強まります。場合によっては軽い痛みや不快感を伴うこともあり、単なる「出血だけの状態」から変化し始める時期といえるでしょう。
3度
3度では排便時だけでなく、くしゃみや重い物を持つなど腹圧がかかった際にも脱出することがあります。脱出した痔核は自然には戻らず、指で押し戻さなければならない状態です。
この段階になると、脱出した痔核が腫れてうっ血しやすくなり、痛みやより強い違和感を伴うケースが増えてきます。
4度
4度は、いわゆる脱肛の状態で、痔核が常に肛門の外へ出たままとなり、指で押しても戻らない段階です。
この状態では、出血に加えて粘液の分泌により下着が汚れやすくなる、持続的な不快感があるといった症状がみられます。さらに、脱出した痔核が締め付けられて強く腫れる「嵌頓(かんとん)」の状態になると、激しい痛みを伴うこともあるとされています。
痔の予防のために心掛けたい生活習慣
痔は生活習慣と密接に関係しており、日々の行動を見直すことで発症や悪化のリスクを抑えられることもあると考えられています。
ここでは、痔の予防や再発防止の観点から、トイレでの過ごし方や食生活、血行を意識した生活習慣について見ていきましょう。
必要以上に長く便座に座らない
トイレで長時間座り続ける行為は、肛門周囲に持続的な圧力がかかり、静脈のうっ血を招く要因になります。特にスマートフォンの操作や読書などで滞在時間が長くなると、排便が終わっているにもかかわらず負担がかかり続ける状態になりやすい点に注意が必要です。
排便時は過度にいきまず、自然なタイミングで済ませることが望ましいでしょう。便意を感じたときにトイレへ行き、終わったら長居をせず切り上げる習慣を身につけることで、肛門への負担軽減につながると考えられます。
食生活を整える
便秘や下痢は、いずれも痔の発症や悪化に関係するとされています。硬い便は排出時に強いいきみを伴いやすく、肛門への物理的な刺激が大きくなる一方で、下痢は頻回の排便により粘膜への刺激が続く原因となりかねません。
こうした状態を防ぐためには、食物繊維と水分を十分に摂取し、便の状態を適切に保つことが重要です。野菜や果物、海藻、穀類などをバランスよく取り入れることで、便通の安定が期待できるでしょう。加えて、極端な食事制限や偏食を避けることも、腸内環境を整えるうえで欠かせない要素といえます。
血行を良くするよう意識する
肛門周囲の血流が滞ると、静脈のうっ血が起こりやすくなり、痔核の形成や悪化につながる可能性があります。長時間同じ姿勢で座り続ける生活や、身体の冷えは血行不良の一因とされており、日常的な見直しが必要です。
適度な運動やストレッチをする、入浴時に湯船につかって身体を温めるなど、全身の血流を良くする工夫を日々取り入れるように意識しましょう。
こうした習慣を積み重ねることで、痔の予防だけでなく再発防止にも寄与する可能性が期待できます。無理のない範囲で継続することが重要といえるでしょう。
まとめ
痔の中には初期の内痔核のように、「痛くない痔」もあります。痛みがないためあまり問題視せず、放置するケースもあるかもしれません。
しかし、症状は進行に伴って変化し、脱出や違和感が強まるほか、状態によっては痛みを伴うこともあります。見た目や自覚症状だけで判断するのではなく、痔の種類や進行の特徴を理解しておくことが重要といえるでしょう。
症状に不安がある場合や、出血や違和感が続く場合には、自己判断で放置せず医療機関への相談を検討することが大切です。地域や診療内容から医療機関を探せる「ベストチョイス」で、自分に合った医院を探してみてはいかがでしょうか。






